鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【紅唐】べにとう≫

≪【紅唐】べにとう≫

一年を通して店頭にならぶ野菜はいろいろありますが、その代表的なものはトマトではないでしょうか。

それでも旬というものはあり、初夏のトマトは甘みが強く、とても美味しいです。


 
そもそもトマトは、いつごろから食べられていたのでしょう。

調べてみたら、意外にもその歴史は新しいものでした。

トマトの起源は南米のアンデス山脈。

10世紀ごろにペルーからメキシコへ伝わり、やがてアメリカ大陸からヨーロッパへと。

でも、この時点で約400年ほど前のこと。

しかも当時トマトは有害な植物と認識されており、観賞用としての存在だったそうです。

毒を持つ植物であるベラドンナに似ていたからなのです。

しかし勇気のある探求者はどこにでも存在します。

イタリアの貧困層のなかに、それを食べてみる人が現れたのです。

彼らは徐々にトマトを品種改良し、だんだんと食べやすいように変えていきました。

そして18世紀になってようやく、現在のトマトに近いものが食用としてヨーロッパに広がります。

今やイタリアンと言えば、パスタにトマトソースは欠かせないですが、それ以前のイタリア料理はパスタソースに黒胡椒やチーズなどをメインに使っていたとか。

イメージがだいぶ違いますね。

そしてトマトが日本に渡来したのは、江戸時代の初期。

やはり観賞用として「唐柿」と呼ばれていました。

それが食用に変わったのは大正時代のこと。

洋食文化の広がりとともに、トマトが野菜として食べられるようになりました。

このように、意外に歴史は浅いのです。

私は最近、イスラエルから日本に入ってきたという品種のミニトマトを買いました。

「ほむすび」という名前で、お尻の方が尖っていてとても可愛い形をしています。

現在トマトの品種は世界で1万種類ほどあると言われており、日本でも240種が品種登録されています。

まだまだ知らないトマトがたくさんありそうです。

そんな初夏に美味しいトマトをイメージさせる日本の色として「紅唐」(べにとう)を選びました。

この色名、もともとは「紅色の唐桟(とうざん)織り」からきています。

唐桟とは、細い木綿糸で織ったツヤのある平織りです。

この唐桟織りの生地は、江戸時代後期である天保期(1830年から43年)に特に人気だったそうです。

細い糸で緻密に織るので光沢があり、ちょうどトマトのツヤツヤした感じを思い起こさせます。

 

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

また、シンガーソングライターの一面も持っています。
6月に初のオリジナルアルバムのCDをリリースしました。
作詞作曲はもとより、ジャケットのイラストも自身の作品です。

 

「烏兎匆匆」
全7曲入り/1500円(税込)
こちらからオンラインで購入できます。
https://reiko-ayusawa.com/
当分の間、送料無料です

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/d45750