今年の夏は、久しぶりに浴衣を新調しようと思っています。
モダンな色柄の浴衣も良く見かけますが、やはりオーソドックスな藍染めに惹かれます。
江戸時代の日本では染物屋のことを「紺屋」(こうや)と呼んだほど、藍染めが盛んでした。
着物などの衣類だけでなく暖簾(のれん)や半纏(はんてん)、風呂敷など、いろいろなものが藍で染められていました。
明治時代初頭に来日したイギリス人の化学者アトキンソンは、街中あちこちで見られる藍色を「ジャパン・ブルー」と記しています。
また、小説家で随筆家の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)も明治時代に初来日した際に「日本は建物も人も小さく、皆青い着物を着てニコニコしている。神秘的なブルーに満ちた国」と表現しています。
藍染めは色が美しいだけでなく、天然染料である藍にはさまざまな効果があるのです。
染めると繊維が丈夫になるうえに防虫・抗菌・消臭効果があり、紫外線に強く、火にも海水に対しても強くなるとか。
丈夫な木綿や麻布を藍で染め、実用的な作業着などに用いられました。
藍染によって布が強くなることは、江戸時代よりもっと以前から知られていました。
戦国時代、黒に見えるほどに濃く染めた藍色を「褐色」(かちいろ)と呼びました。
ちなみに赤茶色の「褐色」(かっしょく)とは別の色です。
藍を染める際に,染料を濃くしみ込ませるために棒などで叩く工程を「搗つ」(かつ)といいます。
そのことから「かちいろ」という色名が生まれました。
藍色の質実剛健なイメージと、実用的に布が強くなることで戦国武将たちに好まれたのです。
武将たちは縁起を担いで「勝」の字をあてて「勝色」と呼び、武具の布などをこの色で染めました。
ところで、現在ロシアで開催中のサッカーワールドカップ。
日本代表チームは3日未明の試合で惜しくもベルギーに敗れてしまいましたが、ここまで勝ち上がってきた雄姿にしびれました。
今回に限らず、日本代表チームのユニフォームはずっとブルー系の色です。
すっかり定着している青いユニフォームですが、歴史を紐解くとブルーが選ばれている理由があるようです。
1936年のベルリン大会で、強豪だったスウェーデン代表を日本が3-2で破り、大金星をあげたことがありました。
「ベルリンの奇跡」と称えられる記念すべき一戦で、そのときのユニフォームがブルーだったのです。
その後、日の丸の赤や白を採用したりもしたらしいのですが、あまり良い結果が出なかったため、ゲンを担いでなのか青色に戻しています。
日本サッカー協会は2009年よりチームの愛称を「サムライジャパン」と決めて、ユニフォームの青は「サムライブルー」とも呼ばれています。
戦国時代から受け継がれているサムライのDNAは、これからも青いユニフォームで世界と戦い続けるでしょう。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:
https://www.colordic.org/colorsample/2056.html
https://www.colordic.org/colorsample/2225.html