承和色は黄色い菊の花からついた色名です。
とは言え、名前からこの色は想像できませんね。
日本の色の名前は、はっきりしているだけでも1000色は存在するそうです。
しかしこのように、名前を聞いても色が思い浮かばないものもあります。
どんな由来でこの名前がついたのか、今回は菊の季節にちなんでちょっと探ってみましょう。
9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」と言って、5つある節句のひとつです。
5つ、それぞれには植物が割り当てられています。
1月7日は「七草」、3月3日はひな祭りで「桃」の節句、5月5日が「菖蒲」、7月7日は七夕で「笹」、そして9月9日の重陽が「菊」の節句です。
この9月9日とは旧暦のものなので、今の暦(新暦)では10月中旬ごろに相当し、ちょうど菊の花が見ごろとなります。
重陽とは「陽」が重なる、そして最も重い(大きい)「陽」の意味です。
中国から伝わった陰陽の考え方では、奇数を陽、偶数を陰としていました。
9は最も大きい陽の数となり、それが重なるので、この名がつきました。
第54代天皇「仁明(にんみょう)天皇」は、都を平安京に移した桓武天皇の孫に当たります。
漢学や文学、書を愛した聡明な天皇であったとのこと。
そして、ことのほか黄色の菊を愛したそうです。
宮中に黄色の菊をたくさん植えるように命じたり、衣装をこの色で染めたりして、在位中には巷でも黄色が大流行したほどでした。
在位中の年号が「承和」(しょうわ)だったため、菊のような黄色を「承和色」と呼ぶようになりました。
黄色の菊を「承和菊」と呼んだりもしたそうです。
そして、「しょうわ」の読み方がだんだん変化して「そが」となったそうです。
年号で承和の期間とは、平安京遷都からしばらく後の834年~848年までです。
幼いころから病弱だった仁明天皇は、わずか40歳で崩御しますが、色の名前として、その行いが現在にも残っているなんて、歴史のロマンを感じます。
まもなくやってくる菊の季節。
黄色の菊を見かけたら、1200年前の平安京の庭が、黄色で埋めつくされている秋の様子を、ちょっと思い浮かべてしまうかもしれません。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/f3f47f.html
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