私たち人類は一般的に“死”を恐れるように条件づけられていると思います。
ところが覚者たちの発言を確かめてみると、彼ら(という人格が存在するかどうかはまずここでは問わないことにして)は一様に死を恐れることはない。
このことは誰でも確認できることです。
なぜ覚者たちは“死”を恐れることがないのでしょうね?
彼らの言葉を調べてみると、ひとつの表現としては、彼らがすでに人格としては死んでいるからということになりそうです。
もうひとつの表現としては、彼らは“死”を恐れる主体というものが、じつは元々存在していないということを知っているからでしょうね。
ではラハシャ・フリッチョフ・クラフト博士の記事「ハートからのカウンセリング・トレーニング」から、人間が“虚空”を恐れる理由について語っている部分をご紹介しましょう。
なぜ私たちは“虚空”をこんなに恐れるのですか?
虚空は、あなたのアイデンティティの死滅です。
あなたが心身の層のどこかで、同一化しているかぎり、それは偽のアイデン
ティティです。
虚空に入ることでその手のアイデンティティは消えてしまいます。
あなたが死を恐れるのはそのためです。
虚空の向こうに突き抜ければ、あなたは生まれ変わります。
ラマナ・マハリシがしたように、死の中へと手放せばわかるでしょう。
ラマナ・マハリシは、インドの美しい賢者でした。
彼は「私は誰か?」と自分自身に問いかける、この単一の技法を編み出しま
した。
十七歳のとき、彼は死の恐怖に圧倒されました。
ただちに、死はいついかなるときにも起こりうるものだと理解したのです。
「五十年のうちに起こるかもしれないし、もしかしたらそれより早いかも
しれない、それならそれを体験してみよう」
彼は、床の上に横たわり「オーケー、じゃあ死んでみよう」とつぶやきまし
た。
そして、彼はできるかぎりの体験をしました。
彼は肉体を離れ、死に、自分の肉体が火葬場の薪まで運ばれることを想像し
ました。
続いて、彼は身体が焼かれて灰になるところを想像しました。
すると驚いたことに、彼はまだそこに存在していたのです。
彼は自分自身が、それらすべての背後にある意識であることを理解して大笑
いしました。
意識は、いつもそこにあったのです。
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とはいえ、死の恐怖に直面し、正体を明かしていく必要があります。
私がすばらしいモデルを提示して見せることはできますが、そんなものは役
に立たないと思いませんか?
私の教えは本棚のきれいな本にはなりえますが、そこに置いておくだけでは
役に立ちません。
どうか、それを自分で使って実験してみてください。
「ハートからのカウンセリング・トレーニング」より
『リビング・エナジー』Vol.6(p39)
https://artbeing.com/cd_book/aurasoma1/LE06.html
【私がすばらしいモデルを提示して見せることはできますが、そんなものは役
に立たないと思いませんか?
私の教えは本棚のきれいな本にはなりえますが、そこに置いておくだけでは
役に立ちません。】
まさにそうですよね。
pari 記