ここまでの動物に関する挿話は、ヴィッキーさんの耳に届いたオーラソーマのティーチャーたちの経験談でした。
効能を信じて動物たちの患部に塗布されたバランスボトルの生きているエネルギーは、確実にティーチャーたちの信頼に応えたようです。
こうして動物の話題を口述していたヴィッキーさんは、ここでふと自分が昔クライアントのある女性から直接聞いた話を思いしだます。
彼女は猫や犬を育てて海外にまで輸出していたみたいですから、本格的なブリーダーだったのでしょうね。
そしてその彼女の家というのが、まるでがシャーロック・ホームズの事件にでも出てきそうな雰囲気の場所ですから、いかにもイギリスという感じです。
少し長いお話なので、2回に分けてご紹介しましょう。
ここには、探険すべき広い大地があり、とても大きな可能性があります。
チャンスは生かせる間に生かすべきだとは思いませんか。
動物のヒーリングについて、ふと思いだしたことがあります。
それはもう何年も前、戦争の最中のことで私がウエスト・ドレイトンにいたころのこと。
当時、私たちの店に定期的に来ていたお客さんで、仕事として猫や犬を育てている人となじみになり、何か月もたつうち、友情も深まっていきました。
オナー・ベイズリーと、名の通った彫刻家のご主人は、人里離れた丘に住み、飼育所にはずっと高くまで針金でぐるりと塀が張り巡らされ、貴重な血統の犬や猫を外からの侵入者から守っていました。
入り口はひとつで、そこには大きな南京錠のついた高い門があり、ちょっと好奇心で覗いてみようという人の意志を挫くために、鉄条網が這わせてありました。
それはまさに陸の孤島であり外の世界から隔絶したところで、夫婦そろってかなりの年配だということもあり、人が訪ねるときには、普通前もって電話で約束をとりつけてからということになっていました。
私はのちに語るエピソードのために、特にこうした点を強調しておきたいと思います。
というのも、説明のつかないことに合理的な説明をつけようとする人が、たくさん現れるでしょうから。
ある朝のこと、店に現れたオナーは少し変で、なんだかおどおどしているようでした。
それで私は調剤室に招き、お茶を勧めました。
大のお茶好きのドリスのおかげで、いつもお茶の用意はできていたのです。
「何か心配事でもあるの、オナー」
調剤室に腰を落ち着けると、さっそく私は聞いてみました。
「それがね」彼女はうつろな目で私を見返しました。
「いよいよボケが来たのか、本当にあったことか、よく分からないんだけど、もしあなたが聞きたいのなら・・・」
その声はだんだんかすれたかと思いきや、急に勢いづき、
「いえ、やっぱり誰かに聞いてもらわなくちゃ!」
ここで言っておきたいのは、動物飼育家の例に違わず、オナーは実に地に足のついた人で、空想に耽るタイプではなく、この仕事にプライドを持ち、実際的な配慮も十分に行っている人だということです。
彼女の育てた犬は評判がよく、特にアメリカで人気の高いペルシャ猫を飼育して輸出していました。
「うちでいちばんのダックスフントが、子供を5匹産んでね、
そのうち4匹はすぐにおっぱいを吸い始めたんだけど、最後の一匹は小さくて弱くて、他の連中から仲間外れにされたのね。
どう見ても、みそっかすだったの・・・」
『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p264-265)
ウェスト・ドレイトンというと、ヴィッキーさんがホースレー薬局で仕事をしていたころの話ということになりますね。
ヴィッキーさんのお話には不思議な話が多くて。(*^_^*)
この話、どういう展開になるのでしょうね。
pari 記