春ですね。
今年は、今日3月6日が「啓蟄」(けいちつ)です。
二十四節気のひとつで、土のなかで冬眠していた虫や蛇などが目を覚まし、動きはじめる時期です。
太陽の光は日に日に明るさを増して、大地を温めているのです。
私にとって春をイメージする代表曲は、松田聖子さんの「赤いスイートピー」
春になると聴きたくなる、また歌いたくなる曲です。
もう間もなく平成も終わろうという時ですが、この曲は1982年、昭和57年のヒット曲でした。
長い月日が流れても、色褪せない名曲です。
スイートピーはイタリア・シチリアが原産で、もともとは夏から秋にかけて咲く花だったそうですが、今では品種が100種類もあるそうで、すっかり春の花として定着しています。
赤いスイートピーも春の曲として書かれています。
ところで当時、赤い色のスイートピーは存在していなかった・・・という事実をご存じでしたか。
実はこの曲の大ヒットをきっかけに、18年もの歳月をかけて三重県伊勢市の花農家さんが品種改良を重ね、赤いスイートピーを誕生させたということです。
作詞した松本隆さんは「そのとき、自分も赤いスイートピーが存在しないことを知らなかった」とふりかえっています。
そして、この歌をきっかけに新しい品種が生まれたことを受け「間接的に花の業界に革命を起こしたらしい(笑)」とも語っています。
そんな社会現象を巻き起こすくらい、絶大な人気だったのです。
スイートピーはマメ科レンリソウ属で、和名は「麝香連理草」(ジャコウレンリソウ)「ジャコウエンドウ」「カオリエンドウ」など。
やさしく、いい香りを持つ花として知られています。
花言葉は「門出」「別離」「やさしい思い出」「永遠の喜び」など。
春は卒業や進学、年度の変わり目での転勤など、門出のシーズンですね。
別離と言っても悲しいお別れではなく、未来へはばたくためのお別れであり、新しいはじまりです。
卒業や退職などのお祝いの花束にするのにふさわしい春の花です。
赤いスイートピーに話を戻します。
スイートピーの赤い色を日本の色名に例えるなら、私は「深紅」(こきくれない)を選びます。
「紅」は、紅花から抽出した染料で染めた柔らかい赤。
それをさらに何度も染めて、濃く鮮やかな赤色を出したものが「深紅」です。
紅花の染料が中国を経て日本に伝来した当時、紅花は金に匹敵するくらい貴重なものでした。
それをさらに濃い色にまで染めるには、たくさんの紅花が必要で、まさに憧れの色でした。
赤色のスイートピー誕生にかけた開発者の情熱は、その価値に匹敵するように思えます。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/ad002d.html