鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 ≪【媚茶】こびちゃ≫

あけましておめでとうございます。
2016年も「季節で楽しむ日本の色」の執筆を担当させていただきます。
2016を数秘でみると、20+16=36、3+6=9で、「弥勒(みろく)の年」なんて言っている方もいます。
いずれにしても3の倍数がならび、3の創造性が強く表れる年になると思います。
このコーナーが、みなさまのより創造的な生き方のお手伝いになれば嬉しいです。
本年もどうぞよろしくお願いします。
今回、取りあげるのは「媚茶」です。
「媚びる」から連想すると、「異性に対し、気を惹こうとして、なまめかしい態度をとる」など、なにやら艶っぽいイメージが浮かんできます。
でも、この色を見ると、地味で渋いイメージの、緑がかった濃い茶色です。

媚茶

なぜ、そんな名前になったのか不思議に思い、調べてみたら、おもしろいことがわかりました。
この色は、もともと「昆布茶」(こんぶちゃ・こぶちゃ)という色名だったのです。
昆布のような緑みを含んだ暗い茶色ですから、それなら納得です。
やがて「こぶちゃ」から「こびちゃ」に変化して、「媚」の文字をあてたわけです。
言葉の力、言葉のマジックというのは、おもしろいものです。
色っぽい「媚」の名前がついたことで、江戸の庶民たちから人気の色になります。
それはそうですよね。
「私、昆布茶色の着物を新調したの」というのと、「私、媚茶色の着物を新調したの」とでは、女の格が断然違って聞こえます。
地味な色が、粋な大人の魅力を表現する色に見えてきます。
江戸時代でも、すでに、こうして色の流行は作られていたのです。
せっかく1月なので、お正月らしい話題もひとつ。
おせち料理には、よく昆布を使いますね。
結び昆布のお煮しめや、昆布巻きがその代表です。

昆布巻き

これは「喜ぶ」の言葉にかけて用いられるようになりました。
おせち料理の起源は、平安時代の宮中行事といわれていますが、庶民の間に広まったのは江戸後期。

おせち

偶然か必然か・・・媚茶色の流行と同じころ、というのもおもしろいものです。
2016年、あなたにとってどんな年になるでしょう。
「昆布」を「媚」と言いかえて、新しい価値観を作りだすように、新しい創造の種が、たくさん運ばれてくる楽しい1年であることを願います。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/2189.html
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