4月は入学式の季節です。
桜の花が舞い散るなか、身体に比べてずいぶん大きなランドセルを背負って、登校する新一年生の姿が目に浮かびます。
先日、あるニュースで知りましたが、3月~4月にデパートのランドセル売り場は、新たな活況を呈するそうです。
それは来年度の新一年生に向けて、ランドセル商戦がはじまっているとか。
なんと気が早いこと。
祖父母が孫のために購入する率が圧倒的に高いそうです。
いつのころからか、ランドセルのカラーバリエーションが豊富になりました。
調べてみたら、今や女の子のランドセルはピンク系が約50%、定番と思われていた赤は、なんと22.5%にまで減少しているとか。
男の子はあいかわらず黒がいちばん人気だそうですが、ブルーやシルバー、ブラウンなどもあり、種類は豊富です。
これは、ある大手の小売チェーン店が2000年代から24色のカラー展開をはじめ、人気に火がついたのでした。
男の子は黒、女の子は赤、と決まっていたのは、すでに過去のもの。
教室のうしろのロッカーには、色とりどりのランドセルが置かれているのでしょう。
昔、ランドセルの材料は天然皮革でした。
その多くは牛革製。
革を色ムラなく仕上げるために、染色しやすい黒と赤にしたといわれています。
その後に品質のよい人工皮革が登場して、現在のように何十色もの展開が容易になったのです。
「男の子は黒、女の子は赤」というランドセルの定番カラーがなくなってしまったのを、ちょっと残念に思います。
なぜなら、日本最古の色名とされるのが「しろ・くろ・あか・あを」の4色なのです。
「しろ・くろ」は明暗を表す言葉になり、「あか・あを」は色相を表す言葉になりました。
この4色が、いわば「四元素」でもあり、「陰と陽」「男性性・女性性」「光と影」「熱い・冷たい」などの二極性の対比を象徴しています。
この4色は東西南北の4方向に対応し、4つの季節にも関連しています。
革の染色の都合から決まったとはいえ、この2つの色を選んだ昔の人のセンスは、哲学的ですばらしいと感じます
「男子は黒、女子は赤」と決まっていた子ども時代、私はランドセルに、なにか神聖なものを感じていました。
小学生である自分の大切な分身のような、学校へ行くための「制服」のような。
それはもしかしたら、色が決まっていたからなのかもしれません。
色を自由に選べる今の時代を楽しいと思う反面、子どものころに感じた、あの「神聖さ」は、もうこの世には存在していないのかもしれない・・・なんて考えすぎでしょうか。
………○…………○…………○………
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/2282.html http://www.colordic.org/colorsample/2297.html http://www.colordic.org/colorsample/2012.html http://www.colordic.org/colorsample/2079.html 参考HP:ランドセル工業会 http://www.randoseru.gr.jp/
☆ランキング、参加中です!!