7月です。梅雨明けが待ち遠しいですね。
この時期、夏の訪れを感じさせる風物詩に「ほおずき市」があります。
毎年、7月9日と10日に浅草の「浅草寺」で開催され、120もの露店が出るそうです。
http://www.senso-ji.jp/annual_event/13.html
朝から夜まで大勢の人でにぎわいます。
この日に市が開かれるようになったのには理由があります。
古来より毎月18日は「縁日」、つまり「神仏にご縁がある日」として、人々はお参りに出かけていました。やがて室町時代、7月10日を特別な功徳日とする新たな縁日が生まれました。
「千日詣」といって、一度お参りするだけで千日分のご利益があるという日です。
ところが、だんだんと話が大きくなって、いつしか4万6千日分のご利益に。
これは約126年に相当します。
そんなに長生きできませんよね。一生分としてもおつりがきます。
この数字には理由があり、一升枡に入る米粒の数が、だいたい4万6千粒だとか。
一升と一生をかけたわけですね。
「ほおずき市」の元祖は、現在の港区芝にある「愛宕神社」でした。
意外にも浅草発祥ではないのです。
7月10日の千日詣の参拝客がお土産に買って帰り、次第に評判となりました。
鑑賞用でもあり、薬草の一種でもあったのです。
やがて、同じ千日詣でにぎわう浅草で市が開かれるようになったのが「ほおずき市」のはじまりです。
あまりの人気に前日の9日から並ぶ人が多く、ついには9日と10日の2日間となったのだそうです。
ほおずきの赤い色を日本の色名で言うなら「緋色」「火色」がふさわしい気がします。
緋色は茜という植物の根で染めた色で、やや黄色みがかった鮮やかな赤です。
火を連想させることから火色と表現されることもあります。
英語名ではスカーレット。
ほおずきは漢字で書くと「鬼灯」です。
お盆のとき、お仏壇に赤いほおずきを飾るのをご存じですか。
ご先祖さまが帰ってくるときの目印になるよう、提灯(ちょうちん)に見立てて吊るすのです。
時代をさかのぼり奈良時代以前、ほおずきの古い呼び名は「輝血」(かがち)でした。
これは火の精霊を表す言葉だそうで、提灯に見立てたほおずきにはなんてぴったりな呼び名でしょう。
赤く色づいたほおずきの鉢植えと風鈴の組み合わせなど、縁起物であると同時に夏らしいインテリアの演出になります。
浅草寺まで行けなくても近くで開かれる「ほおずき市」があれば、今年はひとつ買い求めてみたいと思います。
………○…………○…………○………
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:
http://www.colordic.org/colorsample/2267.html