『ただそれだけ』
久しぶりに(というか、もしかしたら初めてかもしれませんが (^^;))、比較的新しい本をご紹介しますね。
とっても小さい本です。
そして、もしここで語られていることの意味が通じたら、すばらしい起爆力をもった本です。
場合によっては“トドメの一撃”とさえなりうるかもしれません。(*^_^*)
つまり、もうすべての探求が必要なくなるという意味で……。
著者はオーストラリア人の元酔っぱらい水兵さんです。
“セイラー・ボブ”というのは彼が禁酒に努力したときに参加していた「アルコホーリックス・アノニマス(断酒会)」での呼び名から来ているそうです。
AAという組織のなかでは、ファーストネームだけが使われるそうなんです。
それで、当時AAにはジョーデイ・ボブ、マナンガタンダ・ボブ、ブライトン・ボブ、ビッグ・ボブなど、何人かのボブがいたので、元水兵だった彼は“セイラー・ボブ”という名前が与えられた、といのですから面白いですね。
その呼び名が禁酒時代の通称からとられている覚者……。
あ、もっとも彼自身は自分が覚者だというような素振りはまったくしない方です。
あまりにも普通の方ですが……、ありふれた方ということではありませんではなさそうです。
人類の平均からするなら、まあ、かなりの(あるいは極端な)少数派ということになるかもしれません。
でも、このような内容が、これほどわかり易い言葉で語られるとすれば……。(-_-;)
本の内容は、彼との質疑応答からとられており、その教えとは“アドヴァイタ(不二一元論)”に関するものです。
アドヴァイタ(不二一元論)というと、古代インドからの最も深遠な教えとして知られているわけですが……。
それがこの元酔っぱらいの水兵さんの言葉にかかると、理解しようと意図するなら、現代人の誰にでもわかってしまうほどの明快な論理になって語られているのです。
そういう時代なんですかねぇ。(-_-;)
もっとも、理解したその教えを“いただく”かどうかは、これはもう受け手側の問題ですが……。
事実、これまでセイラー・ボブさんのお話を聞いて、本当に受け取った方はご本人がおっしゃるには“ほんのわずか”だそうです。
でも、それはセイラー・ボブさんのせいじゃありませんよね。
いったい、どういうことをおっしゃっているのか、ちょっとご覧になってみてください。 ここでは「エゴとは作り話である」という章のなかの一節をご紹介しましょう。
——————————————————————– 誰もが今ここで見ています。 あなたはまつたく努力なく見ています。 見ることが進行しています。 また誰もが聞いています。 見ることが起こっていて、間くことが起こっています。 自分自身に尋ねてください。 「私の目が、私に見るように言っているのだろうか?」と。 さて、私の目は、「ボブ、ほらこれを見ろ、あれを見ろ」とは言っていません。 目を通じて見ることが起こっているのですが、それが思考によって、「私は見る」「私はあれを見る」と翻訳されているのです。 聞くことが耳を通じて起こっています。 耳は、私に、「私が聞く」とは言いません。 再び、それは思考によって「私が聞く」と翻訳されるのです。 ですから、目は「私は見る」とは言わず、耳は「私が聞く」とは言わないのに、思考が湧き起こってそれを翻訳します。 では次のことを自分に尋ねてください――「私は見る」という思考は、実際に見ることができるのか? 注意して観察してください。 そうすれば、思考が見ているのではないことを、あなたは理解することでしょう。 「私は聞く」という思老が、実際聞くことができるのでしょうか? 思考が行なうのはただ翻訳することだけです。 このエゴとは考えられたもので、見たり、聞いたり、気づいたりするパワーを持っていないのです。 「私は選ぶ」という思考は、選ぶことができません。 「私は気づいている」という思老は、あなたの気づきではありません。 このように、この虚構のエゴとは、私たちが長年束縛されてきた一つの思考なのです。 エゴとは、選択ができ、自分の意志を持っており、たまには悪運に見舞われることもある一つの実体である、という信念は、ただの思考にすぎません。 それが作り話であると気づくとき、いったい何が起こるでしょうか? 自然に生きることが、今までとにかくやってきたように続いていくのではありませんか? それが、あなたを呼吸させています。 それが、あなたの心臓を鼓動させています。 それが、あなたの髪の毛や爪を成長させ、食べ物を消化し、細胞を新陳代謝させ、考えること、感じること、感情、あらゆることが、まったく努力なく起こることを可能にしています。 『ただそれだけ』 ——————————————————————–
驚くべき話です……。(@_@)
とても小さな本なので、いちど手にとってご覧になることをお勧めします。
pari 記
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