はじめてのオーラソーマ No.316 2022.2.18
みなさん、こんにちは。
えつこです。
今回も「はじめてのオーラソーマ」をお読みいただき、ありがとうございます。
さて、前回のぱりさんのお話は【ターコイズ・エネルギーの色彩心理】でした。
まだお読みでない方は、こちらからご覧くださいね。
今回のテーマは、【色を知覚するメカニズム(2)】についてです。
私たちの目は、虹の色を見ることができます。
それは可視光線と言われ、波長範囲の下限は360nm、上限は830nmまでと言われています。
その色を認識するために、人間の錐体(すいたい:カラーセンサーのような役割を果たす細胞のこと)というものが3種類あり、それぞれ青、緑、赤色の光を認識するメカニズムがあると、ぱりさんは書いています。
逆に言えば、私たちは無限にある色の世界から、ほんとうに限られた色の世界しか見ていないということがわかります。
昆虫やほかの生物たちは、人間には見えない色の世界を見ています。
ちなみに人間には3種類の錐体があるそうですが、鳥類や爬虫類には、「紫外線を知覚できる4つ目の錐体細胞が存在する」のだそうです。
人間には見えていない色が見えて、そこからさまざまなものを識別して生きるために役立てているだなんて、びっくりしますね。
そんな色の世界を知覚するために、人間の目はどのようなメカニズムを持っているのでしょうか?
中学の理科の教科書を思い出させるような知識が書かれていますが、このような科学的な知識を持っていることで、色が持つ不思議な世界を探求するきっかけになるかもしれませんね。
それでは、どうぞおたのしみください。
えつこ
色彩心理学としてのオーラソーマ:
第20回【色を知覚するメカニズム (2)】
いろいろ調べてみると、
色の知覚を含めた空間認識の仕組みって
実際は、まだまだ科学的には未解明みたいですね。
私たちが外界から取り入れる情報の
約8割が視覚からと言われています。
視覚とは、
太陽光そのものや物体での反射光が
目で受容され、脳で再構成されて生じる感覚です。
眼球はよくカメラに喩えられますが、
カメラとの類比で言うなら
【カメラ】 → 【目】
ボディー → 強膜(しろ目)
フィルター → 角膜(くろ目)
レンズ → 水晶体
しぼり → 虹彩(こうさい)
フィルム → 網膜(もうまく)
といった感じでしたね。
ここまでは外光刺激から
電磁気的データを計測する機能ですよね。
光が電磁波の一種であることは
すでにお伝えしましたが、
光には波と粒子の両方の性質があります。
このうち波長の成分が「色」の知覚に対応し、
光子数の違いが明るさの違いとして知覚されます。
今回は、いよいよ
その色の知覚の中核部分、
入射光を電気的信号に変えて視神経に渡す
「網膜」のご紹介に入りますね。
■網膜および視細胞の役割分担
●網膜
「網膜」は脳細胞が発達したものとも言われています。
眼球の内部空間を充填しているのは
透明なジェル状の「硝子体」でしたね。
眼球を護る最外殻が「強膜」、
その内側に栄養補給膜「脈絡膜」がありました。
網膜というのは、
この内側の硝子体と外側の脈絡膜に挟まれた
きわめて薄い3層構造の膜です。
(細分化すれば10層からなるとも言われ、
厚さは中央部で0.3mm~0.4mm、
周辺では0.15mmのうすい膜です)
網膜には、視細胞、水平細胞、双極細胞、
アマクリン細胞、神経節細胞という
5種類の細胞が配列されています。
これら5種類の神経細胞は
以下のような3層に配列されて
複雑な神経回路網を構成しています。
1.縦方向に神経連絡を構成する細胞群
(視細胞、双極細胞、神経節細胞)
2.縦方向の神経連絡を横につなぐ細胞群
(水平細胞、アマクリン細胞)
3.光受容器細胞(錐体、桿体)群
ここで色を知覚する機能の中核を担うのが、
光受容器細胞である桿体、錐体の機能です。
■視細胞の役割分担
●明るさを感知する桿体(かんたい)
光受容細胞は網膜の
光が入る方向から最も遠い層(奥側)に
分布しています。
眼球内への入射光の刺激を受け取るのは、
1種類の桿体細胞と3種類の錐体細胞という
計4種類の光受容細胞です。
(「桿体」とは棒のような形状という意味、
「錐体」とは円錐状のという意味です)
色の知覚はこの4種類の光受容細胞が
太陽光の可視波長の刺激に反応して
生じているわけです。
このうち桿体細胞は網膜の周辺領域に
(眼球内壁の全般に散らばって)
1億2000万~1億3000万個くらい分布している
明るさを感じる細胞です。
この桿体には
ロドプシンという色素が含まれていて
これは光が当たると分解され、
光がなくなると再合成することで
明るさの情報を送っています。
その感度は錐体の900倍と言われていて、
光に対する感度が高く暗い場所で働きます。
桿体視細胞の感度はきわめて高く、
照度が0.001ルックス(lx)から
数ルックスまでの範囲で働きます。
数ルックス以上の明るさでは
飽和してしまって動作しません。
私たちの日常生活を考えると、
現代の都市生活条件下の日常では
ふつう桿体視細胞はまず飽和してしまっていて、
活動していないと考えられています。
現代で桿体視細胞が働くのは
夜中に暗い部屋で目を覚ましたときくらい
と考えられるようです。
●色を識別する錐体(すいたい)
網膜中心部で視細胞が密集している場所のことを
「黄斑(おうはん)」「黄斑部」と言います。
私たちが何かものを見ようとするときは
この黄斑にピントを合わせているわけです。
視力が1.0とか1.2とか言っているのは
この黄斑の働きのことです。
黄斑のなかでも、
特に視細胞が高密度に集中している黄斑の中央を、
「中心窩(ちゅうしんか)」といいます。
3種類の錐体細胞は
この中心窩と呼ばれる部分に集中して
(600万~700万個くらい)分布しています。
錐体のみが分布しているこの中心窩が
視力のもっとも高い領域です。
3種類の錐体細胞とは、
420nm(青)と534nm(緑)と564nm(赤)の
電磁波長に高い感度を示す3タイプで、
それぞれR錐体、G錐体、B錐体を呼びます。
これらは6対3対1の割合で存在しています。
もしかすると遠い昔から
暗いなかでは人は比較的安心して外界刺激に対して
鈍感になっていられたのかもしれませんね。(^_-)
しかし、いったんまわりが明るくなったら、
自分の身体が外敵に晒されているわけですから、
敏感に状況を判別する必要があったはずです。
つまり、
錐体の900倍の感度を持つ桿体とは
“寝ずの番”みたいな明るさ感知の役割。
そして、いよいよ外界が明るくなったら
外界知覚の本体の錐体細胞が起き上がる
タイミングなのかもしれません。
しかし明るくなったと言っても、
空の「青色」はそれほど気にする必要はなく
まわりに「緑色」の部分があれば
それは植物の存在を示すでしょうから
かなり気にすべき領域です。
しかしなかでも最も求めていたのは、
生存の可能性を一番保証してくれそうな
暖かい場所、暖色の領域だったと考えられないでしょうか。
暖かく燃える炎の色も、緑の中の果実の色もともに
「オレンジ」から「赤色」の暖色の領域だったでしょう。
その結果、
色の知覚機能を支える錐体細胞は
「R錐体」が半数を超えたのかもしれませんね。
中心窩から4~5mm内側に、
視神経が眼球壁をつらぬく
「視神経乳頭」という部分があります。
これが視覚の「盲点」にあたります。
色彩の知覚というのは
こんなふうにして実現されていたんですね。
視覚には色・形・動き・奥行きなどの
知覚が含まれているわけですが、
それらは結局すべて「色」の知覚の結果が
コンピュータで再構成されるような
ものかもしれません。
人間の目をデジタルカメラに喩えるなら、
もしかしたら、
外光刺激の計測部分機能よりも、
その計測値からの計算機能部分のほうが
大きいのではないかとさえ
想像してしまいました。(^_-)
これからも色彩に関する
基礎知識や心理的話題を取り上げて
ご紹介していきますね。
また次回も楽しみにしていただけたらと
思っています。
m(_ _)m
pari 記