今年の夏は新型コロナウイルスに季節を奪われたように感じていました。
夏祭りも花火大会も無い夏。
みなさんもそうだと思いますが、人生でこんなことははじめてです。
でも、このまま夏が終わってしまうのはあまりにも残念なので、8月も後半になって、意識して夏らしいことをしてみました。
ちょっとしたお出かけにも浴衣を着る、晴れた暑い日に川べりの「やな」に鮎を食べに行く、などです。
おかげでちょっと自分の夏を取り戻すことができたように思います。
この調子で秋も、秋らしいことをして過ごそうと思います。
秋といえば、もうじき栗が出まわりはじめます。
青果売り場で栗を見ると、ほんとうに秋が来たことを実感します。
今回選んだ日本の色は「蒸栗色」
蒸した栗の中身のような、柔らかい黄色です。
この色を見るとほっとすると同時に、洋菓子のモンブランを思い浮かべます。
てっぺんにマロングラッセが載っていたりして、いかにも秋のお菓子のイメージです。
モンブランとはフランス語で「白い山」のことで、フランスとイタリアの国境にある、アルプス山脈最高峰の山の名前に由来しています。
4810メートルなので、富士山より1000メートルも高いのですね。
山の形をイメージして、螺旋状にクリームが巻かれたケーキで、栗を使ったイメージが強いですが、必ずしも栗である決まりはないのです。
日本にモンブランという名のケーキが登場したときに、どこも商標登録をしなかったので、全国にこのケーキが広まったそうです。
すっかり秋の定番スイーツとなっています。
ところで日本の色名には、栗にまつわるものが数多く存在します。
ベーシックなところでは「栗色」ですね。
鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 ≪【栗色】くりいろ≫
現在でも髪の色を表すときなどによく使われます。
これは栗の実のような赤みのある焦茶色です。
熟した栗の実のような、赤みのある茶色は「落栗色」
これは源氏物語のなかにも登場する、古くからある色名です。
「栗皮色」や「栗皮茶」は、黒みがかった赤褐色で、栗色に比べるとこちらの方が少し濃い色合いになります。
江戸時代には女性の帯の色として人気だったとか。
従来の色の名前や色合いを少し変えて、新しい流行を作りだしていたのです。
このように栗色のバリエーションが多いのは、栗が日本人にとって古くから馴染みのあるものだったからですね。
どうか今年の秋が、みなさまにとって実り多いものでありますように。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2415
https://www.colordic.org/colorsample/b23e52
https://www.colordic.org/colorsample/6a4028
https://www.colordic.org/colorsample/2335