ビロードはつややかで手触りのよい厚手の織物で、別名ベルベットとも言います。
フォーマルな服や和装コート、ショールなどの衣料品、カーテンなどのインテリアに使われます。
安土桃山時代にポルトガル商船を通じて日本に渡来しました。
ビロードで仕立てられた戦国大名のマントなどが、今も残っています。
慶長年間から日本国内でも織られるようになったそうです。
ビロードの正式な名前は、ポルトガル語でvelude、スペイン語ではvelludo です。
ビロードによく用いられる代表的な色として、この深く渋い緑色を「天鵞絨」と名づけたのかもしれませんが、布の名前からついた色名というのは珍しいのです。
それにしても「天鵞絨」とは難しい文字です。
この色名を知らなければ、一生に一度も書くことが無かったかもしれません。
「天鵞」は白鳥を指すそうです。
「鵞」の文字は「ガチョウ」のこと。
白鳥は空を飛ぶ(天を翔ける)鵞鳥のように見えたのでしょう。
「絨」の文字は、絨毯にも使われているとおり、厚い織物のことです。
きっと白鳥の羽根のような光沢のある厚手の生地をイメージして、ビロードにこれらの文字をあてたのですね。
確かにビロードの生地に触れると、体温のある生き物のような、なにか艶(なま)めかしさを感じます。
それは難解な漢字の持つ重厚感とよく似合っています。
同じような日本の色に「老緑」「千歳緑」「柚葉緑」などがあります。
これらは、どれも渋く深い緑色で「天鵞絨」に色そのものは近いのですが、名前から受ける印象の違いは大きいのです。
これらの色名は、どれも植物からついた名前です。
どことなくあっさりとして少し枯れた感じの深い緑色をイメージさせます。
今回「天鵞絨」を取り上げたことで、色の名前が与える印象の違いを実感しました。
日本のように1000を超える色の名前を有する国は、世界でも稀なのだそうです。
日本の色名は多く、そして意味が深い・・・それは漢字が持っている表現の力でもあります。
日本の色名に詳しくなると、同時に漢字の読み書きにも詳しくなれるかもしれません。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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オーラソーマ プラクティショナートレーニング レベル3
日程 2018年3月7日(水)~10日(土)全4日間
時間 10:30~18:00
会場 栃木県宇都宮市 カラーズガーデン
費用 未定(未発表ですがアカデミーの指針に準じます)
定員 6名(残席2名)
講師 鮎沢玲子
※レベル2コース(新でも旧カリキュラムでも可)を30日前(2月5日)までに修了された方が対象です。
お申込み・お問合わせ reiko@colors-garden.jp
その他のスケジュールはこちらで確認できます。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:
https://www.colordic.org/colorsample/2313.html
https://www.colordic.org/colorsample/787a59.html (老緑)
https://www.colordic.org/colorsample/2113.html
https://www.colordic.org/colorsample/006543.html (柚葉緑)