物語に巻きこまれず、中心にくつろぐ(香山桂子(Viramo)さん)

現象世界は永遠の変化の世界ですよね。

そして私たち人間は誕生以来、その永遠の変化のなかに身体という“自分”の姿を現して生きているいる分離した実体だと教えられているわけです。

まわりの環境とは分離しているように見えるその身体が“自分”なのだと信じていれば、この人生は途方もない苦難の道となりそうですね。

人生で展開する自分の物語への興味が上回っているあいだは、私たちはさまざまの“あるべき姿”を目標にして、まわりからの是認と自尊心を維持するために懸命に頑張ります。

なかにはそれをかなり上手にやってのけられる人生もあるかもしれません。

でも、すべての人生にそれが起こるはずもありません。

なぜなら、現象世界とは「二元性の原理」が支配する世界であり、そこでの“成功”とは“失敗”があってこそ成り立つ相対的なものでしかありえないからです。

成功する人が存在できるためには、失敗する人の存在が必要です。

誰かが勝者になるためには、誰かが敗者にならなければならない世界なのです。

そして身体は最後には崩壊せずにはいません。

つまり、現象世界で展開される人生とは、ある意味で真の意味の“成功者”“勝者”もありえない世界なのです。

そして、人生のどこかの時点で薄々それに気づいた人たちは、なんとかしてこの窮状を脱出する方法を模索しはじめます

それが“求道(ぐどう)”とか“探求”と呼ばれるものですよね。

けっして落ち着くことのない心(マインド)を、なんとか安定させる道を模索するのです。

意識の焦点は内側に向かいはじめます。

いつか“自分”が陥っている窮状を外側の世界で改善することが必要なのではなく、その状況を受け容れららないことこそが問題なのだという情報に接するからです。

“自分”のあるがままの状況を受け容れる道もいろいろあるようですね。

人間の受容センターであるハートを活性化する道はその代表格だと言えるでしょう。

理解して、そして受け容れる。

香山桂子(Viramo)さんは、受容的なフィーリングのなか発見した理解をシェアしてくださっています。

では香山さんの記事「オーストラリアツアー ニュードーン・アウェイクニング・インテンシブ体験記」から、そのあたりに触れた部分をご紹介しましょう。


毎朝ボトルを選ぶのですが、ヌラは初日に「オーラソー マのいっさいの知識を忘れて、ボトルの方から観られていると感じて選んでください」とガイドし てくれました。……

私はボトルの前で静かに目を閉じて座り、呼吸をくつろがせリラックスして、ハートの広がりをじゅうぶんに感じたあと、ゆっくりと目を開けてみました。
やさしく受容的なフィーリングのままでいると、存在感のあるいくつかのボトルと、共振しているような繊細なフィールドに入りました。
愛で観られている心地よさと、私が主体でない安堵感のような感覚は、とても新鮮な体験でした。

コースの初日に出逢ったボトルのひとつは特に印象的で、“在るがままの自分を受け入れる”ようにと、私に語りかけてきました。
後日、オーラソーマとは別のワークが進められるなか、ラハシャとヌラから“在るがままの自分”について、貴重な導きがありました。
初日に出逢った印象的なボトルからのメッセージと見事に重なっていたので、私はドキドキしながら注意深く耳を傾けました。

「日々の暮らしのなか、私たちはなぜストレスや緊張、苦しみが繰り返されるのでしょうか?」
「それは中心とつながっていないときで、自分と分離しているときです。
 私たちが在るがままの自分を受け入れることなく理想で生きることは、自分と分離しているということです。
 また、自分の理想と違ったものに出逢うと、憎しみや恐怖といった苦しみが生まれ、これを終わらせるためには、物語に巻きこまれるのではなく、中心にくつろぎ気づいていることです」
 
私の内側は、台風のように大きく揺さぶられはじめていました。
表面では、いつもとなにも変わらないように見えても、内側ではなにかが崩れていくのを感じていました。
それがなにかを理解できたのは、翌日に訪ねた、熱帯雨林のなかのミニヨンフォールでのことです。


巨大な岸壁の上に座り、ラハシャのガイド瞑想に入っていくなかで、私はふと自分自身を理想化しやすいマインドのパターンがあることに気づいたのです。

それまでは、まったく気づいていませんでした。
理想と同一化していたのです。
その同一化は、私の一部でありながら、長い間非常に強力に働いて、自らを傷つけていました。
分離による痛みは“私のなかにある理想の人、他者からの期待に理想の人のように応えようとしている”際に起きていたのです。
同様に他者にも、起きている状況にも、それを期待してきたのだと思います。

「オーストラリアツアー
 ニュードーン・アウェイクニング・インテンシブ体験記」より
『リビング・エナジー』Vol.9(p74-75)



【巨大な岸壁の上に座り、ラハシャのガイド瞑想に入っていくなかで、私はふと自分自身を理想化しやすいマインドのパターンがあることに気づいたのです】

普段の日常を離れた環境に入ると、それまでの世界を一度ご破算にして、まったく新しい気づきを体験をすることがあるんですねぇ。

pari 記

 

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