私の気持ちは、クリニックに戻ることへ
『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』:「7 じっとたたずむ時」から ヴィッキー・ウォール
ヴィッキーさんのような使命を持って生まれてくることは、大変なことですね。
地上人には地上人の、個人的願いもあれば、都合もあります。
なにしろ地上人には、自分の人生がこの先どうなるのかはわかりませんから。
それは映画の登場人物には、その映画の先の展開がどうなるのかが見えていないようなものでしょうね。
登場人物に先の展開が見えていたのでは、それは映画にはなりません。(^^;)
一寸先が見えない状態で本気でその状況での都合や願いを抱えているからこそ、それが映画になるのですから。
これまでヴィッキーさんは同僚のマーガレットと一緒に、懸命にクリニックの運営に関わってきました。
そして重い冠状動脈血栓を起こして、いまつらいリハビリに努めています。
それはなるべく早くクリニックに戻りたいと願えばこそです。
人間としては当然のこと、ドラマの登場人物としてのあるべき姿です。
でも、オーラソーマの創始者としてのヴィッキーさんの人生には、その場面はないのかもしれません。
オーラソーマがこの世に誕生するためには、それは許されないかもしれません。
正直、使命を持って生まれてくるって、大変なことだなぁと思います。
こんなに一生懸命、リハビリを頑張っているんですけどね。
——————————————————————– そしてついに、ラッパズイセンが咲き始め、うららかな春の日に、陽気な黄色のトランペットがたくさん風に揺られるようになったころ、私も少しずつ、人生の流れの中に戻っていく用意をし始めました。
それから、駄目になっていない心臓の筋肉を強化するため、毎日少しずつ、そしていずれは五キロ程度の散歩をするようにと勧められました。 最初の週は、小道沿いの最初の木まで、ほんの百メートルほど歩くのがやっとで、足はもつれるし、膝はがくがくと折れてしまうしで、やっとの思いでたどり着いたときには、それはほっとしたものです。 私は太い幹に体を預け、しばらくそこで休みました。 木を抱き締めるのは、本当に何か月ぶりでしょうか。
それから、私はまた、来た道をえんえんと戻っていきました。 そして少しずつ、私は距離を伸ばし、木から木へと、時にはおのれに鞭打ちながら進みました。 体はまだこれほどの重労働に慣れていなかったからです。 そしてとうとう、いつものごとく「血と汗と涙の」努力の果てに、ゴールへとたどりつきました。 五キロ歩き通したのです。
遠くに農家がぽつんと見え、あとは小さなコテージが二軒見えるだけの、でこぼこで、舗装されてもいない小道でしたが、それは美しい散歩道で、優しい褐色の瞳をした牛が、私のあとからついてくることもありました。 私はそっと彼らに話しかけ、それぞれに名前をつけました。 ときには、牧場の果てまで、ずっと私の跡をつけてくることもありました。 キジは、大手を振って道を横切っていました。 彼らが狙われる時は、まだ来ていなかったからです。 畑のそこここで、野ウサギが跳ねています。 私はずっと家の中から楽しんでいたものを、今や外で楽しむようになっていました。
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その「天のひと突き」は、警告でした。 しかし、どれほどしつこくそう言われる必要があったことでしょうか。 この出来事は、私には別の仕事がある、だから前に進んで、新しい方向へと足を踏み出さなくては、ということを教えていました。 心臓発作からすでに六か月経っており、生まれて初めて、私は神の導きを無視していました。 前に進むのを拒んだのです。 それは多分、私がもう職を退く年齢に差しかかっていて、何度も病気をぶり返し、これ以上前に進むことなど考えられなかったからでしょう。 すでに私の気持ちは、クリニックに戻ることへと向かっていました。 それはすでに名声を博している仕事でしたし、患者もすでに、孫の世代にまで広がっていました。 それに私は彼らが大好きでしたから、経済的なことを抜きにしても、できれば帰りたかったのです。
そして、復帰の準備は着々と進みました。 といっても、体の方はまだ十分ではありませんでしたが。 冠状動脈血栓と糖尿病の併発は、かなり深刻でしたが、ただ身を引いてしまう気には、どうしてもなれなかったのです。
『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p59-60) ——————————————————————–
「冠状動脈血栓と糖尿病の併発」って、聞いただけでも大変そうですね。
それでもヴィッキーさんはまだ身を引くつもりはなくて、もう一度クリニックに戻りたかったんですね。
誰もがそのように振る舞うしかないのだろうと思います。
pari 記