鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 ≪【萩色】はぎいろ≫
『奥の細道』の松尾芭蕉に同行していた曾良(そら)。
彼は旅の途中に病いで体調不良となり、ひとりで別の目的地へ向かうことになりました。
そんな芭蕉との別れのときに曾良が読んだ句です。
旅の果てに行き倒れになったとしても、そこが赤い萩の花咲く野原なら悔いはない、と。
俳句という風流の世界を極めることに身を投じた曾良は、旅の途中で命を落とすことも本望と考えたのでしょうか。
そして、萩の花が大好きだったのかもしれません。
今回取り上げるのは、萩の花の色「萩色」です。
今、夏真っ盛りですが、実は8月8日早くも「立秋」がやってきます。
二十四節気のひとつ「立秋」以降は、夏の暑さのなかにも秋の気配がかすかに感じられる、とされています。
この日をさかいに夏の挨拶文は、暑中見舞いから「残暑見舞い」に変わります。
春の七草(正確には七種)があるように、秋にも七草があります。
春の七種(ななくさ)はお粥に炊いて食べるものですが、こちらは花を観賞して楽しむものです。
七種類の花、ご存知ですか?
萩、ススキ、桔梗、撫子、葛、藤袴、女郎花、の7つです。
萩は、日本のみならず東アジアや南アジア、北米やオーストラリアなどの温帯・亜熱帯地方に広く分布しています。
秋の花のイメージが強いのですが、実際は花の時期は長く、7月頃から咲きはじめ10月頃まで見られます。
背はあまり高くならず落葉する低木で、茎の先は枝垂れるのが特徴です。
枝の先端からはマゼンタに近い赤い色の、小さな花がたくさん咲きます。
「萩色」は平安時代からある色名で、女性の衣服に好まれました。
平安時代、着物の生地を重ねて楽しむ『襲(かさね)の色目』でも、秋の配色として「萩」という名が残っています。
マゼンタ色と、藍と刈安(黄色の染料)で染めた濃い緑色の組み合わせで、それはオーラソーマの46番のボトル「ワンダラー」を思わせます。
http://aura-soma.co.jp/products/equi/B046.html
もっと涼しくなったら、こんな色の組み合わせで秋のファッションを楽しみたいですね。
萩について調べていたら、興味深いことに出会いました。
萩は、荒れ地に生える「パイオニア植物」のひとつで、放牧地や山火事の跡地などに一面に生えることがあるそうです。
他の植物が育たない、乾燥してやせた土地にも根づくので、日本では昔から道路の斜面などの緑化計画に用いられたそうです。
どうりで身近にあちこちで見かけるわけですね。
それにしても「パイオニア植物」とは・・・可憐な花だと思っていましたが、萩はたくましい生命力をもつ存在でした。
萩の花のパイオニア精神、たくましい先駆者的な資質に、この秋はぜひあやかりたいです。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
———————————— 英国オーラソーマアカデミー資格講座 レベル2 日程 2015年9月19日(土)~22日(祝火)、 10月3日(土)~4日(日)全6日間 会場 栃木県宇都宮市 カラーズガーデン 講師 鮎沢玲子 お申込み・お問合わせ reiko@colors-garden.jp
その他のスケジュールはこちらで確認できます。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.color-sample.com/colors/3925/ 参考HP: おくのほそ道文学館 http://www.bashouan.com/psBashouPt_index.htm Key:雑学事典 襲の色目 http://www.7key.jp/data/design/kasane_irome/index.html
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