長いこと日本の色についての原稿を書かせていただいていますが、知らないことがまだまだあるのだと痛感いたしました。
今回、はじめて知ったことがあります。
今回、とりあげた色名の「蒼白色」ですが、この名前で二つの色が存在します。
ひとつは青みのある白色。
「蒼」という字は青を表します。
草冠に倉・・・倉の屋根に草を干している様子が、文字の成り立ちだそうです。
草の青なので、正確には緑色を指していたのかもしれません。
中国から陰陽五行の考え方が日本に入って来たとき、五行はそれぞれの色に対応していました。
五行のうち「木」は東の方角で、季節は春を表し、色は青や緑色でした。
当時、青と緑は同じ色として認識されていたのです。
日本人が、たとえば緑色の信号を「青信号」と言うように、緑色を青と形容することがあるのはこのためです。
話が少し逸れましたが、そんなわけで、ひとつめの色は青みのある白色です。
蒼白の月や蒼白の雲、のように空の青色と同系色の様子を表します。
青白いという表現より、静けさや趣のある落ち着いた雰囲気を感じさせます。
もうひとつの蒼白色は、紅がかった明るい灰色。
驚いたのですが、この由来は「顔面蒼白」になった人の顔色からきています。
血の気が引き、顔から赤みが消えた肌色をイメージしたのです。
白く濁ったような少しピンクがかった灰色が、血色が悪くなった顔色を表現しているようです。
顔面蒼白って、経験したことはありますか?
予想を超えたショックで頭の中が真っ白になるとか、低血圧で朝礼などで長時間立っていてふらつく、または倒れるときなども、こんな顔色になっているかもしれないです。
紛らわしいので二つを区別するとしたら、こちらの色名は「顔面蒼白色」となるでしょう。
なんとも趣のない名前ですが。
新型肺炎「コロナウィルス」による、社会や私たちの生活への影響が深刻です。
人々が皆、顔面蒼白にならないうちに、一日も早い収束を願うばかりです。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/a6ffcc
https://www.colordic.org/colorsample/e7d3d3