父からの贈り物

父からの贈り物
「オーラソーマとは何か?」より  マイク・ブース
       今からわずか百年ほど前のことです。
ヴィッキーさんが十代の半ばで家出をした後、ハシディズムの宗教伝統によるのか、家族は娘を死んだものとして、ヴィッキーさんとは一切口を利かなかったというのです。
強烈ですね。(-_-;)
ヴィッキーさんが生きた時代は、まるでシャーロック・ホームズが生きているイギリスの物語世界みたいな世界なんですね。
わずか十六歳ほどの娘が、家族から見放されて、独りでいったいどんなふうに生活したのだろうと思います。
自分の庇護を離れた娘をまったく許さなかったのは父親の権威でしたが、心のなかでその娘のことを一番心配していたのもその父親だったのかもしれません。
ハシディズムの行者だったヴィッキーさんの父親の目から見て、彼がもつ智慧を一番受け継ぐ能力を持っているのが末娘のヴィッキーさんであることは明らかだったのだと思います。
でも、ハシディズムの伝統では、その智慧を娘に引き継ぐことはできませんでした。
それは男性にしか許されない伝統だったからです。
条件づけによる思い込みというのは決定的ですよね。
ヴィッキーさんの父親からすれば、無断で自分の庇護を離れたヴィッキーさんは、父親の信頼を裏切った娘ということになるのでしょうか。
ヴィッキーさんがバランスボトルを生み出すことになったのは、父親が死んでから間もなくのことだったようです。
暗い実験室のなかで、ヴィッキーさんの手を導いていたのはお父さんだったのかもしれませんね。
地上の約束事から解放されて、はじめて思いのままに娘にアクセスすることができたのかもしれません。
今回はマイク・ブース氏の「オーラソーマとは何か ?」から、そのあたりの事情に触れた部分をご紹介しましょう。
       —————————————————————— 理解が深まるにつれ、オーラソーマはヒーリングのシステムというよりは、意識を作り変える道具なのだという思いがますますしてきています。 色や光の波長や波形という形の中に、意識は自分の姿を認めるのです。
こうした見方は、古代の多くの知恵の体系と関係があります。 チベット死者の書やバルド・ソドルは、死後に体験する色と光について述べています。 意識は自分が引かれる色を選ぶことができ、その色は、ある生で行なわれた行動と関係します。 その行動がどうなされたかによって、意識が色と光の中で自分を表現する好みが決まるのです。
この考え方は、チベットだけのものではありません。 それは過去の他の知恵の体系にも共通するものなのです。 十字架の聖ヨハネの魂の暗夜とマヤの写本は、同じ現象を述べた別の例です。 ですからオーラソーマをその延長線上で理解しても、飛躍のしすぎということはないでしょう。
ほとんど100種類近い色の組合せの中から、自分で色を選んでもらいます。 上下とも同じ色のものもあれば、上下の色がコントラストをなすもの、補色のものもあります。 そのときその人の意識は、こうした透明な「色とりどりの宝石」に映る自分の姿と直面するのです。 4本のボトルを選んでもらうのですが、ボトルを選ぶ際は、ボトルの並びの色取りを気にするのではなく、それぞれ好きなボトルを選んでもらいます。
そして、このように選んだ4本のボトルを見た時、そこから、その人がどんな質を過去から持ち運んできたか、どんな困難が目立って見えるか、そしてその人の持っている性癖に、その人自身どう対応しているかということが見て取れるのです。 また、その人の超意識が選んだボトルに関する限りにおいて、未来にどんなことが起きてくるかということさえ見ることができます。
こうしたことから、オーラソーマの創始者であり発明者であるヴィッキー・ウォールは、バランスボトルを魂の鏡と呼んだのです。 彼女は人が自分の真の色を認識し、それとワークしはじめたならば、自分の選んだ色の表している条件付けのパターンという生の素材を使って、魂を形づくることができるということを信じていました。
「オーラソーマとは何か?」という問いにもっと十分に答えるためには、どのようにオーラソーマが生まれたかを知ることが必要です。 というのも、それによって私たちはヴィッキー・ウオールが瞑想と祈りの中で最初のバランスボトルを受け取った時に述べたことがより十分に理解されると思うからです。 それは、あたかも、他の手が彼女の手を動かしたかのような、彼女を通してある知識が自分を表そうとするかのようなプロセスでした。
バランス(イクイリブリウム)が生まれる7年前、すでにヴィッキーは盲人登録をしていたというのは、最も驚きに値することでしょう。 彼女の父であるアブラハム・バーンはハシディズム(ユダヤ教の秘教的な教えを説く一派)の信者で、カバラの行者でもありました。 ヴィッキーは、それは深く彼を愛し、双方を等しく尊敬していましたから、実際両者を区別するのは難しかったのです。
継母から執拗ないじめにあい、10代の初めに家を出たヴィッキーは、その後異教徒の一家と暮らし始めるまで、その日の暮しの生活を送りました。 彼女の父は厳格なハシディズムの信者だったため、家を出た彼女は死んだも同然とみなされたのでした。 これは今という時代からすれば信じられないようなことですが、ヴィッキー自ら私に語ったことです。
私の感じでは、この断絶によって彼女は心にひどい傷を負ったようです。 家族は父親が亡くなるまで、彼女と口をきこうともしませんでした。 偶然の一致どうか、バランスが生まれたのは、父親が亡くなってからだったのです。
ヴィッキーはそれを父からの贈り物だと言っていました。 私がバランスボトルのシステムとワークすればするほど、カバラとのとてつもない関連が明らかになってくるようです。
それぞれのボトルは、生命の木の径やスフィアにフィットするのです。 もしかしたらこのシステムは、カバラのマスターであった父親が、娘からの真の愛を認め、彼岸から贈った贈り物であったかもしれません。 これは、バランスがどのようにこの世に生まれたかについての理解の一つにすぎません。
            『リビング・エナジー』Vol.8(p23)

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なるほど。この記事をマイク・ブース氏が書いた頃は、イクイリブリアムボトルが「生命の木」のパスやスフィアに合致することを発見しつつある時期だったのでしょうね。
文章の端々からその興奮が伝わってくるようです。
pari 記

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