家畜農業は全米農地の70パーセント

家畜農業は全米農地の70パーセント
「ベジタリアンこそニュー・プリウス」より                    

   キャシー・フレストン
       今の時代は色々な意味で特別な時代のようです。
そのもっとも明白な証拠のひとつとしてあげられるのは地球上の人口でしょうか。
もちろん、正確な人口などわかるはずもありませんが、2015年2月19日現在時点で72億3823万人と推定されています。 http://arkot.com/jinkou/
そして、まあ潜在力から言えば、次のグラフのように増えていくだろうと推測されているわけです。 http://goo.gl/H20lLA
が、この人口が特別なのは次のような過去を長尺に採った「世界人口の推移」を見たときに明らかになります。 http://goo.gl/sQdCQZ
いくら鷹揚な人でも、この人口推移の傾向をこのままこの地球上で維持できるとは思わないでしょう。
人口推移における何らかの大転換が、そう遠くない将来にこの地上で起こることはほぼ間違いないでしょうね。
そして今回ご紹介する記事で取り上げられているのは、この地球人類の食糧の一部を構成している食肉用の家畜の問題です。
地球上のごく一部の人達の食肉文化を維持するための環境負荷は、どうやら一般に何となく想像されるレベルとは違うようです。
なるほど、ここらあたりを切り口に、地球上の問題の激変が起こってくるのかもしれませんね。
では、キャシー・フレストン記者の「ベジタリアンこそニュー・プリウス」より、そのあたりを推測させる部分をご紹介しましょう。
       —————————————————————— これまでの十年、レオナルド・デイカプリオが乗り回すトヨタのハイブリッド車プリウスが、環境保護のゴールドスタンダードを定義していました。 これらの低燃費車が、地球温暖化に打撃を与える消費者パワーの紛れもないシンボルになりました。 「考えてもみろ、世界の温室効果ガスの排出合計の25パーセントに責任がある国の車の排ガスを半分にカットできるのだ」というわけです。 ……
去年、シカゴ大学の研究者たちは、もう一方のガソリン消費者の大量購入に注意を喚起して、プリウスの鼻をへし折ったのです。 食肉用の動物の飼育、搾乳場、養鶏場は、私たちがパスタ・プリマベーラ(みじん切りにした、いろいろな野菜で料理したパスタ)、植物性蛋白のナゲット、その他の植物性食品を食べる場合に必要な量より、およそ10倍の作物生産を要求することを明らかにしました。
その上さらに、動物を食肉処理場に輸送し、屠殺し、屍体を冷凍保存し、その肉を全国に配送するためのエネルギーも必要とします。 食肉蛋白質のカロリーを生産するということは、植物性蛋自質のカロリー生産の場合と比べると、10倍以上の化石燃料を燃やし、10倍以上の温暖化効果ガスを吐きだすことを意味しているのです。
研究者が発見したのは、それらをすべて合算すると、車をプリウスに替えるよりはベジタリアンになる方が、地球温暖化ガスの排出を間違いなく削減できるということでした。
また、合衆国レポートによると、私たちにステーキや豚肉を提供するために必要とする広大な土地を含めると、事態はさらに悪くなります。 家畜農業は、信じがたいことに全農地の70パーセントを占め、この惑星の全陸地面積の30パーセントを占めるのです。 結果として、家畜こそが、たぶん世界の森林の大量伐採と焼失の最大原因なのです。
現在、かつてのアマゾン熱帯雨林の70パーセントが放牧場として使われ、残りの多くを飼料作物が占めています。 熱帯雨林のジャングルは、大気中の二酸化炭素を吸収する「シンク」の役割をしており、これらの森林を伐採することは、そこに蓄えられていた炭酸ガスをすべて放出することで、その量は家畜農業の化石燃料排出量をはるかに上まわるのです。
……
一見、広大な地球からすれば微々たるものと思われる動物が、どうして地球の気象を変えるほどの膨大な温暖化ガスを放出できるのでしょうか? その答えは、彼らの数そのものにあります。 アメリカ一国だけで毎年100億頭を超る陸生動物を屠殺しており、そのすべてによって、「あらゆる鍋に鶏」が贅沢と考えられた、さほど遠くない昔には想像すらできなかったほどの食肉文化が維持されているのです。
食用の陸生動物は、地球の全陸生動物のバイオマスのなんと20パーセントを構成しています。 私たちは、自分たちの惑星をとことん食べつくしているのです。 私たちが見ているのは単なる始まりにすぎません。 食肉消費量は、過去50年間に5倍に増大し、次の50年間でさらに倍増するだろうと予想されています。 これは、非常に悪いニュースのように聞こえますが、実はまったくその反対です。 これは人類が直面している、かつてない深刻な環境危機に対して、私たちが使える強力な新しい武器があることを意味しています。 ……
             『リビング・エナジー』Vol.7(p100)

——————————————————————–
なるほど。
「アメリカ一国だけで毎年100億頭を超る陸生動物を屠殺」と聞くと、そのすさまじさが感じられますね。
その食肉文化を維持するために、アメリカの「全農地の70パーセント」が家畜農業に向けられ、地球の「全陸地面積の30パーセント」が人間の食糧になるための動物たちの飼育場だとは……。
そうか、地上の動物たちの20%は人間に食べられるために生きているのか……。
pari 記

Twitterボタン Twitterブログパーツ