鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 ≪【鶯色】うぐいすいろ≫

本日2月4日は立春です。
気温はまだ低いものの、昼間の日差しは一日一日と明るさを増して、春の訪れを感じさせます。
日没の時間もずいぶん遅くなりましたね。
春になると、どこからともなく「ホーホケキョ」と、鶯の鳴く声が聞こえてきます。
ウグイス
鶯は東アジアに広く分布している鳥です。
日本では「春告鳥」の別名で古くから親しまれており、「万葉集」には五十首以上の歌が詠まれています。
花札の如月(旧暦2月)の絵柄である「梅に鶯」を思いだす方も多いのではないでしょうか。
花札は「花かるた」とも呼ばれ、一組が48枚です。12か月分の花が、4枚ずつに描かれています。
余談ですが、日本にカードゲームが上陸したのは安土桃山時代のことで、ポルトガル語のカードゲームを表す「carta」が語源になっています。
その花札で、2月(如月)の絵柄は鶯。
赤い梅の花と枝に止まっている鶯の緑色が、美しい対比をなしています。
花札
先日、昔ながらのパン屋さんに行ったところ、ウグイスパンを見つけました。
緑色のウグイス餡が入っていて懐かしい味でした。
日本の色名で「鶯色」を調べてみたら、意外にも今までイメージしていた緑色とはかけ離れた、茶色に近い色だったのが気になりました。
鶯色
さらに調べてみて、わかったことは・・・花札に描かれたあの鳥、実は鶯ではなくメジロだったのです。
確かに目のまわりが白いではありませんか。
実際の鶯は? というと、メジロに似ていますが、比べると、ずっと地味で、茶色がかった羽の色をしています。
メジロは花の蜜を吸いに梅の木にやってくるのですが、鶯は藪のなかで、主に虫などを食べているのだそうです。
メジロに比べて、色だけでなく、なんだか生態まで地味です。
これまで鶯色と思いこんでいたのは、実は「メジロ色」でした。
メジロ
ならば、あのパンも、本当は「メジロパン」と呼ぶべきで、これは食品の偽装では?(笑)なんて。
花札の歴史を見ると、安土桃山時代の「天正カルタ」にはじまり、さまざまな変遷を経て、現在の絵柄に定着したのは江戸中期のことだそうです。
当時、花札をデザインするにあたり、美しい鳴き声にふさわしい鳥として、鶯に似たメジロが描かれたのかもしれません。
食品の産地偽装や偽りの表示は困りますが、こんな様式美のための風流な偽装なら歓迎します。
メジロにはちょっと気の毒ですが。
春を告げる鶯の鳴き声を聞いたら、今年はメジロのことも少し思いだしてあげましょう。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
———————————— 英国オーラソーマアカデミー資格講座 レベル2 日程 2015年3月3日(火)~5日(木)、        24日(火)~26日(木)全6日間 会場 栃木県宇都宮市 カラーズガーデン 講師 鮎沢玲子 お申込み・お問合わせ c_garden@sea.ucatv.ne.jp TEL:028-667-8006
その他のスケジュールはこちらで確認できます。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/2146.html
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