オーラソーマの授業では、まず「色の言語」を学びます。
オーラソーマカラーケアシステムは、イギリスで生まれたものですが、日本人ならではの感性で「色の言語」をもっと深く探求できるのではないかと思います。
連載中のこのコーナーでは、毎回「カラーローズ」のなかの1色を取りあげ、日本の色名、文化、歴史、季節感などと関連づけてご紹介しています。
今回取り上げるのは、ターシェリーカラーのひとつである「ターコイズ」です。ハートのグリーンと喉のブルーが混ざってできる色なので、「ハートからのコミュニケーション」や、ハートからなにかを表現する「クリエイティビティ」(創造性)の色とされます。
日本の色のなかにも、ちょうどターコイズと同じような色が存在します。 とても意外なネーミングなのですが、「新橋色」といいます。
「新橋色」は大正5年の流行色ですから、日本の色のなかでは新しいものです。東京新橋の芸者たちの間で流行したことから、この名がついたとされます。
鮮やかなターコイズカラーは、従来の天然染料ではなく当時新しく誕生した化学染料によるものでした。それまでブルーの色を染めるには、藍などの天然染料を使う以外になく、その落ち着いた色合いを見慣れた日本人にとって、鮮やかな「新橋色」は、さぞ目新しい色に映ったことでしょう。
明治時代、関東の花柳界は、旧来の柳橋芸者と新興の新橋芸者という勢力図がありました。伝統を誇る柳橋に対して、新橋に集まる客層は進歩的で新しいものを好む人たちが多く、当然、芸者たちの装いにも洋風で斬新なものが受け入れられていったといいます。
明治の文明開化のシンボルのようなこの色は、やがて大正モダニズムの流行に受け継がれ、前述のように大正5年の流行色となったのです。
花柳界から生まれた流行色が、やがて庶民の間にも浸透するのですが、その背景にはこんなこともあるようです。 当時、発達した絹織物に「銘仙」があります。銘仙の産地は、桐生・足利などの北関東と、秩父・八王子などの西関東。いずれも消費地である東京に近い場所です。
銘仙は、従来の絹織物よりも安価で手に入りやすかったため、晴れ着というよりも中産階級の普段着、または若い人のおしゃれ着として、主に関東で人気がありました。 欧米の洋服地デザインの要素を取り入れて、大正時代にはアールヌーボーの影響が見られる模様銘仙も出現しました。 銘仙の持つハイカラな雰囲気を好む時代背景は、「新橋色」の流行と決して無縁ではありません。
「新橋色」は、まさにこうした「創造的な遊び心」を表現しているのです。 ターコイズの色の言語とぴったり一致します。
この原稿を書いていたら、今年は個性的な柄の浴衣か、粋な夏着物を着てみたくなりました。 日本文化の中に息づく遊び心を見直してみたいものです。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
———————————— 英国オーラソーマアカデミー認定講座 レベル3 日程 2013年8月13日(火)~18日(日)全6日間 会場 カラーズガーデン(栃木県宇都宮市清原台) 費用 147,000円 再受講 60,000円(カラーズガーデン以外でレベル3を受講の方) お申込み・お問合わせ カラーズガーデン:c_garden@sea.ucatv.ne.jp TEL:028-667-8006
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/2084.html 参考HP:足利銘仙プロジェクト http://www.ashikagameisen.jp/
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