鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【玄】げん≫

12月の声を聴くと景色はすっかり冬の様相です。

街にはクリスマスソングが流れる季節となりました。

今回取り上げた「玄」という色は冬を表す色です。

黒ではあるのですが、黄色味を帯びているとも言えるし、
赤味も感じます。

一般的にイメージする黒よりも、温かみを感じる色でしょう。

オーラソーマで言えばレスキューボトルの下層、
ディープマゼンタを想い起こさせます。

古代中国で生まれた「陰陽五行思想」では、
5つの気(木火土金水)がそれぞれの季節とつながっており、
東西南北の方位ともリンクしています。

詳しい解説はここでは省略するとして、
冬は「陰」そして「水の気」であり、
下へ下へ向かうものというイメージです。

水は冬になって寒気で凍ります。

したがって方角は「北」になります。

北は太陽の光が届かない、
または光が弱い場所であることから、
色は黒なのですが、この時に「玄」の文字を使います。

4つの方角に関連する生き物(聖獣)をご紹介しましょう。

そして、それは色との組み合わせで成り立っています。

東は「青龍」青い龍
南は「朱雀」赤い鳥(スザクと読みます)
西は「白虎」白い虎
北は「玄武」黒い亀のような生き物(水中に棲む)

更に季節(四季)と色の組み合わせも揚げておきます。

東は、青と春で「青春」(言わずと知れた言葉です)
南は、赤(朱)と夏で「朱夏」(しゅか、と読みます)
西は、白と秋で「白秋」(詩人の北原白秋の名前はここから)
北は、玄(黒)と冬で「玄冬」(げんとう、と読みます)

「玄」の文字の成り立ちは諸説ありますが、
黒く染めた糸の束を吊るした様子からできた文字と言われます。

アマチュアのことを「素人(シロウト)」と呼ぶのに対して、
プロフェッショナルのことを「玄人(クロウト)」と呼びます。

やはり「玄」の文字には、本物である渋さや、
積み重ねてきた年輪のような重みが表されているのだと感じます。

「玄」は黒ではあるけれど、
さまざまな色を含んだ末にできた黒なのです。

やはりディープマゼンタと通じますね。

「玄冬」という言葉を想い、
この冬の時期を自分を深める時間として過ごしてみたくなりました。

単純ではない黒、全てを含んでいる黒、
だからこそ温かさを人に与えることができる黒、
そんな色に憧れます。

 

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

また、シンガーソングライターの一面も持っています。
6月に初のオリジナルアルバムのCDをリリースしました。
作詞作曲はもとより、ジャケットのイラストも自身の作品です。

 

「烏兎匆匆」
全7曲入り/1500円(税込)
こちらからオンラインで購入できます。
https://reiko-ayusawa.com/
当分の間、送料無料です

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/3e1e00