関係性 と シンクロニシティ
「ハートからのカウンセリング・トレーニング」から ラハシャ・フリッチョフ・クラフト博士
ラハシャ・フリッチョフ・クラフト博士は、カウンセリングの世界を大きく広げた「ハートからのカウンセリング」の創設者ですね。
ドイツでの開業医のキャリアから出発して、病気にならないための医療についての問題意識から、西洋医学、東洋医学を研究する中で、世界におけるさまざまな心理学やセラピーなどを探求された方です。
その探求の途上でじつに広範なさまざまのセラピーやヒーリングを経験され習得して、現在は実存と実存との出会いとしての「実存的セラピー」とも言えるものを提唱されています。
その研究の成果は現在、英語、中国語、日本語で『ハートからのカウンセリングスキル─痛みから愛へ─』として出版されています。
この本の中で博士は、「人格とその層」について説明したあと、実存的セラピーのプロセスについてのモデルを紹介されています。
今回はこの本の引用を紹介した「リヴィングエナジー6号」から、ラハシャ博士が提案する、ヒーリングが起こりうるカウンセリングにおける「第一の事柄」についての部分をご紹介しましょう。
それは、まさにシンクロニシティそのもののきわめて具体的な説明にもなっているようです。
ではラハシャ博士の記事「ハートからのカウンセリング・トレーニング」の一部をご覧ください。
——————————————————————– ●● カウンセリングのはじめにおける第一の事柄
ハートというのは、存在に対してもっともたやすくアクセスできる扉のひとつです。 私の主催するトレーニングやリトリートでは、一日がハート瞑想のガイドではじまります。 瞑想中、言葉は自発的に発せられますが、主な内容はほぼ同じです。 忙しいマインドを超えて空(くう)へ、静けさの中へと入っていくのを助けます。
ヒーリングと変容が起こるためには、マインドの中身よりも深いレベルで他者と出会うことができるようになる必要があります。 そして、深いレベルで真に出会うためには、まず自らの内なる深みへと降りていき、空と静けさを見つける必要があります。 それから、他者の空と静けさとのシンクロニシティーへと落ちていきます。
シンクロニシティーは二人、またはそれ以上の人の空がひとつになったときに起こります。 共鳴が存在のレベルで起こりはじめます。数分間沈黙のうちにともに坐って内側へと入っていくことは、出会いをはじめる方法としてとてもよいでしょう。 (中略) その人にとって唯一必要なことは、ありのままでいて、そのありのままに愛のこもった気づきをもたらすことです。
あなたが少しでも相手のなにかが間違っていると思うとき、それはあなたがシンクロニシティーの中にいないことを示しています。 あなたは自分の戦略と防衛の層の罠にはまって、もしかしたら、かすかに優越感を感じているのかもしれません。 そうすると、あなたはその層で相手と出会い、相手はかすかに劣等感を感じることでしょう。
二人は関係性のパターンから行動し、もしかしたら言い争いになってしまうかもしれません。 それではヒーリングは不可能です。 どちらかが、もしくは二人ともが正しくあろうとしているかもしれないし、両者がお互いに他者を変えようとしているかもしれません。
相手のなにかを変えたいと思っていることに気づいたら、ただそれをやめて、ただちに自分の中心に、自己の深みへと向かってください。 内なる虚空の中にくつろぎ、しばらくなにもしないでください。 それは存在を引きよせるすばらしい力になります。 相手の中の存在が応答します。
そこから、あなたは相手の存在が完全であることを知ることができ、どの層の中にいたとしても、現に今あるがままの相手を抱きしめることができます。 そのシンクロニシティーの中で、問題への強い同一化が緩みはじめます。
『リビング・エナジー』Vol.6(p36-38) ——————————————————————–
なるほど。
シンクロニシティというものは、そういう働きなんですねぇ。
そして「そのシンクロニシティーの中で、問題への強い同一化が緩」む……。
ラハシャ博士が提案されている“ハートからのカウンセリング”とは、そのようなカウンセリングだったんですね……。
pari 記
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