天使の鼓動
今回ご紹介しようと思う本は、ある意味でとても“簡単な本”です。
でも、簡単な本が、必ずしも容易に理解できるわけではありません。
いえ、ある意味で、確かに“容易に理解できる”わけですが、そこに書かれているそのエッセンスを本当に自分で生きられるかかどうかとなると、それはまったく別のことですよね。
90年代なかば、パット・ロドガストという女性の口を通して「エマニュエル」という意識存在が語り始めました。
初めてこの本を読んだ時の、あの感じを今思い出すのはなかなか難しくなっているのですが……。
<人間であることを楽しんでください しかし、人間であると信じてはいけません
思いきって信じてみてください あなたは天使であると>
こんなふうに、この本は始まります。
さて、われわれ(自分を人間と信じている意識存在)が、そう信じても何も“損”することはないようなものですが、実際には、なかなかそうは信じられないものです。
そう信じようとはしてこなかったのが人間というものなのかもしれませんし。
そして、あの頃から二十年近く経ち、これほど多種多様なスピリチュアル情報が出まわる時代になっても、やはり“簡単な本”には昔と同じような難しさがあるものですね。
あなたは、あなたの思い込みのなかで正しくありたいですか、それともそんなこととはまったく無関係に、ただ幸せでありたいですか?、と問われているのかもしれません。
どちらにしても、<永遠の今>のなかで、どちらが正しいわけでもありませんものね。
ヒットラーの言葉ですら、声高に叫び続ければつかの間の真実にはなりうるわけです。
密やかな声に耳を傾け続ければ、元々真実であることが真実と認知されるのにどれほどの手間暇がかかるというのでしょうね。
考えてみれば、この世には、「恐怖」という幻想を主張し続ける声高な理性の声と、「絶対の安心」を囁きかける密かな内面の声しかなかったのかもしれません。
ちょっと立ち読みしてみましょうか。
——————————————————————– あなたは何年間 どれほどの数の人生において 知的な探求をしてきたでしょうか いまという瞬間に存在するための ひとつの方式を提案したら あなたはそれにしたがうつもりがあるでしょうか これはあなたの幸福のために ほんとうに大切なことです しかし、約束しますが あなたの理性はその方法を聞いたすぐあとに “たしかにいい考えではあるようだけど もっと考える必要があるな” と言うにちがいありません
あなたの人生という事件を 理性の法廷に訴えることはしないほうが賢明です もしそうすれば、六百年は 法廷闘争を続けることになるでしょう
何も頭で理解しようとせずに いまという瞬間に憩うという練習をしてください (p77-78) 『天使の鼓動』 ——————————————————————–
そうなんですねぇ……。
現れを司るマインドは、どこまでも変化しつづける道へと誘うわけでしょうね。
現れの形を注目してもらわなければならないのですから。
pari 記
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