色彩心理の図式「カラーローズ」:ブルーの心理
前回は、「カラーローズ」というあの美しい図は、高い空から眺めた“全人間心理の鳥瞰図”のようなものなんだと、というお話をしました。
高い空を飛ぶ鳥の目から見たら、人間世界の“意図”と“思い”の全体は、きっとこんな美しい絵↓になって見えるのかも、というわけです。^^;
でもそれは、遠く離れた超越的な地点から全体にフォーカスして眺めるから、そんなふうに美しい6枚の“色セロファン”のような風景に見えるのだ、とも言えます。
きっと、もっとずっと近づいて、その絵の中に入ってみれば、それはそれで、人間心理も、けっこう、つらい世界なのかもしれませんものね。(^_-)
すべては、フォーカスの違いなのかもしれません。
そう言えば、ひところ流行った「ホログラフィー画像」を思い出しました。
本屋さんの立ち読みで、両目を寄せたりした憶えがあります。(*^_^*)
本を開いたときには、つぶつぶの細かな模様が描かれているだけなのに、ちょっと苦労して両目の焦点をコントロールすると、その模様の中から、まったく別の立体画像が浮かび上がってくるんですよね。(@_@)
そんなふうに、ものごとは意識のフォーカス次第で、じつはまったく別の光景が浮かび上がってくるものなのかもしれません。
何ページかムキになってやったものだから、後で目がくらくらした憶えがあります。^^;
前回、オーラソーマの「色の言語」のテンプレート「カラーローズ」は、たった3枚の円い“三原色セロファン”から派生するんだという話をしました。
神の視界
独存の平和
(ブルー)
// \\
生命への熱情 → 個別への意志
欲望と安定 ← 自尊と不安
(レッド) (イエロー)
しかも、「カラーローズ」という「色の心理」のテンプレートのなかには、単に人間心理の全要素が静的に網羅されているだけでなく、それぞれの心理発生のダイナミズムまでが内包されている……、なんてことを言いました。
だとすると、上の“三原色セロファン”は同時に生まれたのではなくて、発生の順番があることになりますよね。
時間差とかそう言うことではなくて、発生の論理的順番という意味でしょうが。
それかあらぬか「オーラソーマ」では、なかでも特に「ブルー」は、そこから「他のすべての色が出現しうる第一の原色(プライマリ カラー)」と言われているようです。
「オーラソーマ」では(ゲーテの色彩論から引き継がれているのかもしれませんが)、この「ブルー」からすべての色が出現してきた、というんですよね。
誰が言うんでしょう? (?_?)、という話もありますが (^_-)、まあ、わたしたちの内面がそう言っているんでしょうね。
そして、この言い方から類推されることは、「ブルー」は、すべての色のなかでも色彩という多様性が発生する以前の状態を象徴する特別な色、と見なされているということだろうと思います。
“あらゆる色が発生する以前の状態”とは、どういうことでしょうか。
それは、おそらく、“あらゆる心理が発生する以前の状態”ということと同じことだろうと思います。(^_-)
そして、それはじつは、“あらゆる問題が発生する以前の状態”ということと同じことなのかもしれません。
なぜなら、“問題”とはすべて“心理”のなかに発生するものだからです。
ということは、「ブルー」はまだ問題というものが存在しなかったときの状態を、色として象徴しているということです。
これ、詭弁に聞こえますか? (^_-)
でもたぶん、「ブルー」は、まだ問題というものが発生していなかったときの状態を、思い出させてくれる色なんですよ。
それは、単にわたしが理屈で推論しているだけのことではなくて、われわれ人間のDNAに刻み込まれた記憶なんだろうと思います。
北欧のある都市で、あるときから急に犯罪が激減したことがあるそうです。
ある時期を境にして、急に“ゼロ犯罪都市”になってしまったんです。
市当局としては、思わぬ大変化に、もちろん大喜びはしましたが、なにしろその理由が分かりません。
いろいろ調査した結果、その変化の時期が、まったくそういうことを意図していなかったある都市計画の実施時期と、完全に一致していることがわかったそうです。
それは、その都市の電力消費節約のために、街灯をブルーの明かりに変更した時期と一致していたというのです。
「ブルー」は、間違いなく、まったく問題というものが存在しなかった状態を思いださせる、リマインダーメッセージを発信しているようです。
“まったく問題というものが存在しなかった状態”……、これはどういう状態でしょうか?
“まったく”と言うからには、“問題というものが存在しえない状態”ということでしょう。
存在するものがすべて見えていて、しかも、そこに問題が起こりえない状態、そこに問題が発生しえないことが自明にわかっている状態です。
それが、「他のすべての色が出現しうる第一の原色(プライマリ カラー)」、「ブルー」が発振しているメッセージです。
問題というものが発生する“余地”がない……。
存在する者全員で調和し合って、発生するすべての問題を調和のなかに昇華させよう……、というのではないのです。
第一の原色「ブルー」が象徴しているのは、そういう“精華としての調和”ではありません。
問題というものがありえないがゆえの平安……。
そういう状態を象徴するカラーリマインダーが「ブルー」なのです。
……それは、
空間的風景に喩えるなら、人知れぬ深山に冴えざえと透き通って静まる湖のようなものかもしれません。
時間的風景に喩えるなら、夜の闇がどこかに微かな光を感じ始めて、目覚めの気配を感じさせるあの「たはかれどき」のようなものかもしれません。
まったく問題というものが存在しえない状態から、その最後の名残が、最初に人間心理の世界ににじみ出してきたとしたら……そのメッセージとは?
……それは、
「じつは、自分独りしかいない」
ということではないでしょうか。
「色の言語」のテンプレート「カラーローズ」に、最初に出現しなければならないのは、【第一の原色「ブルー」】でした。
この【第一の原色「ブルー」】が人間心理の世界で象徴するものを
神の視界
独存の平和
(ブルー)
という言葉で表したのは、そのためです。
これが、人間心理の世界に現れる“意識内実”の始源であり、極北です。
人間心理のアルファであり、オメガです。
いつでも、現象世界の「ブルー」のなかに、この秘められたメッセージをキャッチしては、われわれ人間のなかの何かが“ゆるむ”のです。
「じつは、自分独りしかいない」(-_-)
始源の物質宇宙に「ブルー」が明けはじめて、そこに「鉱物の世界」が展開する素地が誕生したのです。
……。
ところで、【第一の原色(プライマリーカラー)】がなぜ「ブルー」であり、「カラーローズ」の中心として象徴される「クリアー」ではないのだろう?、という疑問も湧くかもしれません。
しかし、おそらく、「オーラソーマ」では、「クリアー」は「光」そのものの象徴として扱われているのだろうと思います。
それは、色彩世界を成立させるパワーの根源、あたかも眼前に見える地上世界に対して、それを成立させている太陽の光のようなもの……、と見なされているのでしょう。
別の言葉で言うと、「クリアー」は“非顕現”を象徴しているのだと思います。
だからこそ顕現の世界では、「クリアー」、他のなにものも遮らない透明としてしか現れないのでしょうね。
だから、顕現世界の始源である【第一の原色(プライマリーカラー)】ではありえないのでしょう。
次回から、【第一の原色(プライマリーカラー)】から展開する世界がどんなふうに人間心理を紡ぎだしていくのかを、眺めてみたいと思います。
お付き合いいただき、ありがとうございました。<(_ _)>
pari 記
(初出『オーラソーマ通信』第159週号(2007,7/18)より編集)