鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【古代紫】こだいむらさき≫

今年は異例の早さで梅雨が明けてしまいました。

6月からすでに猛暑となり、この先の夏本番が思いやられます。

毎年6月後半から7月にかけては「梅仕事」の時期です。

梅干しを漬けたり、梅の酵素ジュースを仕込んだり、梅ジャムを作ったり。

なかでも代表的な仕事はやはり梅干しの仕込みでしょう。

それに欠かせないのは「赤紫蘇」です。

綺麗な赤い色を出すだけでなく、赤紫蘇は栄養が豊富。

ビタミンB、食物繊維、カロテンなどがたくさん含まれています。

紫色の食材は色だけでなく、身体にも良いのです。

ところで、赤紫蘇を見ていると「古代紫」という色名が思いだされます。

一般的な紫色よりも渋く暗い紫色です。

「古代」とついていますが、実際に古い時代にこの色が使われていたというわけではなく、江戸時代に生まれた色名です。

平安時代から紫色は高貴な色とされており、位の高さを表す着物の色に使われていました。

しかし、11世紀はじめ、一条天皇によって高官の衣装が黒に統一されたため、その当時の紫色は途絶えてしまいます。

でも紫色の染色技術はその後も受け継がれ、江戸時代には人気の色になっていきます。

江戸時代に流行した紫色を「江戸紫」と呼びました。

江戸の粋、江戸好みの美意識から生まれた紫色は、すっきりとした青みがちな色。

歌舞伎のなかでも印象的な使われ方をして、ますます人気の色になっていきます。

最新の流行ということで「今紫」という呼び方もありました。

イマドキの紫色に対して、昔はこんな色だったんじゃない? と生まれたのが「古代紫」だったのです。

実際にどうだったかは分かりませんでしたから「古代っぽい紫」「古代を連想させる紫」ということです。

青みが強くスッキリした「江戸紫」「今紫」に対して、渋くくすんでおり赤みが強いのが特徴です。

ですから、この色を見ると、私は赤紫蘇を連想してしまいます。

赤紫蘇で漬けた梅干しに助けられる日が多くなりそうな今年の夏。

くれぐれもお身体に気をつけてお過ごしください。

 

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

また、シンガーソングライターの一面も持っています。
6月に初のオリジナルアルバムのCDをリリースしました。
作詞作曲はもとより、ジャケットのイラストも自身の作品です。

 

「烏兎匆匆」
全7曲入り/1500円(税込)
こちらからオンラインで購入できます。
https://reiko-ayusawa.com/
当分の間、送料無料です

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2039
      https://www.colordic.org/colorsample/2045