鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【紅緋】べにひ≫

11月になるとすっかり秋も深まり「晩秋」という言い方がしっくりきます。

私の住む関東地方でも暖房が恋しい時期となりました。

この時期に使いはじめる暖房器具といえば「こたつ」を思いだします。

子どものころに私の実家でこたつを出すのは、地元、宇都宮二荒山神社の「菊水祭」というお祭りの時期と決まっていました。

「菊水祭」は毎年10月最終の土日曜日に開催され(今年は10月27・28日でした)、古式ゆかしい神輿(みこし)行列や流鏑馬(やぶさめ)が行われます。

 



流鏑馬とは、武者の装束で馬に乗り、走りながら弓矢を使って的を射る勇壮な神事です。

子どものころの記憶では、そのお祭りの提灯が市内の大通りに飾られると、家ではこたつを出す準備をしていました。

学校から帰ってくると居間にこたつが出ていて、何か嬉しかったのを覚えています。

 



ときには真新しいこたつ布団だったり上掛けだったりすると、ますます嬉しくてまっさきにこたつに入っていました。

ところで江戸時代には「こたつ開き」なる日が決められていたことを知りました。

旧暦の10月で初亥(はつい)の日と決まっていたそうです。

これには理由があります。

10月というのは「亥の月」で、「亥」は五行で「水の気」に属します。

「初亥の日」とは、12日ごとにめぐってくる「亥」が、その月に初めて来る日のことです。

当時、江戸の町は火災が多く、水の気の月の、水の気の日にこたつ開きをすれば、その年の冬は火災に遭わずに済む、という縁起担ぎです。

「水の気が、火の気を剋する」という五行思想から、この習わしが生まれたのです。

ちなみに今年2018年の旧暦「亥の月」「初亥の日」11月3日です。

え~っ、もう過ぎてしまったじゃないかと思った方は、2度目の「亥の日」11月15日で、この日でもいいそうです。

もし江戸の習わしに合わせてみたいなら、15日にこたつを出してみてはいかがでしょう。

現在では、こたつの熱源は電気のヒーターですが、昔は練炭や木炭、豆炭などで火を起こして暖をとっていました。

だから漢字で「炬燵」と書くのですね。

ここで、今回取り上げる日本の色は「紅緋」(べにひ)です。



赤い色を表す「緋色」の語源は「火色」

暗いこたつのなかで、炭火が赤く光っているのを連想しました。

江戸時代、「緋色」の染色方法は、クチナシの黄色で下染めし、その上に蘇芳(すおう)でを染めていました。

オーラソーマで言えばヒューのコーラルのような色。

 



少しオレンジがかった赤色です。

この緋色のさらに冴えた黄色みがあるものを「紅緋」といいます。

巫女さんの袴に見られるような鮮やかな色です。

寒い季節になるとこんな色が目に赤々と映り、そこに火がともったように暖かさを感じます。

 

 

 

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。

http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
 

 

色見本参考:

https://www.colordic.org/colorsample/2268.html

 

参考HP:宇都宮観光コンベンション協会

http://www.utsunomiya-cvb.org/tourist_data/598.html

 

 





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