【色はほんとうに人に影響するか?】:『はじめてのオーラソーマ』第288号

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はじめてのオーラソーマ No.288 2021.8.6

みなさん、こんにちは。

えつこです。

今回も「はじめてのオーラソーマ」をお読みいただき、ありがとうございます。

前回のぱりさんのお話は【色彩学の大家ニュートンとゲーテ】でした。

まだお読みでない方は、こちらからご覧くださいね。


今回のテーマは、【色はほんとうに人に影響するか?】についてです。

最初にレベル1を受講したときに、色がもたらす心理についての話を聞いたことが、今でも印象に残っています。

それまではなんとなく、「色の効果は心理に影響するのだろう」ぐらいは思っていましたが、世の中で起きている実例を聞くと、まさにそうだったわけです。

私の前職はアパレルでしたが、初年度は会社が用意してくれた社宅に住むことができました。

六本木と東京タワーの間の麻布十番というところにある、とても便利でおしゃれな場所でした。

マンションは、当時人気のコンクリートの打ちっぱなしで、当然かっこよかったのですが、なんだか暗いし、寒くて、どことなく気持ちも寂しく感じていました。

1階に住んでいた男性は、1階言いながらもほとんど“半地下”状態で、カビが生えるし、いつも身体がむくんでいると言ってました。

またコンクリートなグレーが気分を暗くさせることを痛感し、かっこよさよりも気持ちよさが重要だと思った次第です。

そこで、今回のぱりさんのお話は、色が人間にもたらす影響についてです。

このお話を読み終えたら、ちょっと身のまわりを見直ししたくなるかもしれませんよ。

それでは、おたのしみくださいね。

えつこ

 


色彩心理学としてのオーラソーマ:

          第6回【色はほんとうに人に影響するか?】


 

色はほんとうに人に影響を及ぼすと思いますか?

このメルマガを読んでくださっているあなたは、
たぶん色が人に影響を及ぼすことを
確信していらっしゃるだろうと思います。

でも、そういう話はあまり信用しない、
と言う方がいても不思議ではありませんよね。

色って、ほんとうに人に影響するんでしょうか?

ニコラス・K・ハンフリーという
イギリスの心理学者がいます。

Nicholas Humphrey

トンネルでつないだ青い照明の部屋と
赤い照明の部屋を用意して、
そこにサルを入れて、どちらの部屋にでも
自由に留まれるようにする実験を行ないました。

結果はどうなったと思いますか?

 

 

サルは常に好んで青い部屋に留まったそうです。

青い照明の部屋のほうが快適だったようです。

サルの実験がそのまま人間に
100%当てはまるとは言えないでしょうが、
人間とサルには共通した感覚があると
考えられているのも事実のようです。

実際、人間でも赤い光の下では、
血圧が上昇し、脈拍が速まり、呼吸数が増加し、
筋肉が興奮・緊張するなどの反応が起きて
攻撃的で神経質な状態になるそうです。

その反対に青い光の下では、
血圧の降下、脈拍の安定、
呼吸の安定、筋肉の弛緩といった
平静な状態になるという報告があるそうです。

色が人の体や気持ちに影響を及ぼすことは、
客観的に証明されていると言っても
いいのかもしれませんね。

この赤と青の2色については
2005年にイギリスの科学誌『ネイチャー』
ある記事を掲載しました。

それはイギリスのダーラム大学の研究チームが
2004年のアテネ・オリンピックでの4種目の格闘技
(ボクシング、テコンドー、レスリング2種目)で
赤のウエアやヘッドギアを着用した選手と
青のものを着用した選手との間に
勝率差があるかどうかを調べたものでした。

驚いたことに4つの競技とも
赤を着用した方が青を着用した場合よりも
勝利数が多いという結果が得られたのだそうです。

ほぼ同じレベルの能力を持った選手同士が戦った場合、
その勝率差は20%にも広がっていました。

またこのダーラム大学の学内競技での調査では、
赤を着用した側の勝率が55%だったそうです。

2008年ドイツのミュンスター大学が行なった
テコンドーの試合での調査の場合も、
赤の勝率が13%も高かったと報告されています。

これらの数字は、偶然では生じない
明らかな有意差を表しています。

赤の着用者は勝利する傾向にあることが、
統計学的に明らかになったわけです。

明確な理由ははっきりとは証明できないにせよ、
赤い色はテストステロンの濃度を押し上げるから
と推測されているそうです。

テストステロンというのは
生殖器や副腎から分泌される男性ホルモンの一種です

男女ともに分泌されるそうですが
特に男性では筋力や骨格、生殖器などの発達に
影響すると言われています。

ちなみに今年の東京オリンピックの柔道では
日本人選手が大活躍しましたね。

1998年から、この柔道の国際大会は、
IJF(国際柔道連盟)が主催する大会、
つまりオリンピック、世界選手権、ワールドカップ、
世界ジュニア選手権、ユニバーシアードでは
白と青の柔道着の着用が採用されています。

はじめて白と青の柔道着の着用を採用したのは、
1988年5月にスペインのパンプロナで開催された
ヨーロッパ柔道選手権大会でした。

一方の選手が白を着用し、もう一方が青で、
「審判にとっても、観客やテレビの視聴者にとっても
 色が違うほうがわかりやすい」のと、
誤審も減るという理由だったそうです。

青を選んだのはいちばん映えるという理由だったとか。

ところで、
白と青では勝率差はあると思いますか?

グラスゴー大のチームは、
1996~2005年に行われた柔道の世界選手権や
オリンピックでこれを調査したようです。

シード選手が青色の柔道着を着る慣例があったため、
勝率に偏りが生じかねない試合を除外して、
決勝戦のみ、501試合を選んで分析した結果、
青の勝率は50.7%で白とほぼ同じでした。

白と青では勝率に差は出なかったみたいです。

これがもし赤だったら、
赤を着用した選手の攻撃性が高まって、
それを見た相手選手が気圧されたりして
勝率に差が出たかもしれませんね。(^_-)

 

逆に色の沈静化作用では、こんな話もあります。

ロンドンの「ブラックフライヤーズ橋」はかつて「自殺の名所」と呼ばれていたそうです。「ブラックフライヤーズ橋」

その橋の色を「明るい緑色」に塗り替えたところ、自殺者はなんと三分の一に減少したというのです。

たしかに自殺する当人の気持ちを推測すれば、あんまり明るい色だと気をそがれますよね。

 

 

青に関してはこんな話もあります。

2005年、日本のマスコミが
「イギリスのグラスゴー市では青色照明で
 犯罪が大幅に減少した」
という話題を報道して反響を呼びます。

そして同年奈良県が青の防犯灯を取り入れてから
全国に広がっていきました。

その後実際、高速道路のサービスエリアでは
ゴミの不法投棄が2~3割も減少したり、
踏切での自殺者の減少なども報告されました。

ところがグラスゴー市での経緯には、
日本の報道とは違う特殊事情もあったようです。

炭鉱都市が廃坑とともに廃れて
失業者による犯罪が増加していたらしいのです。

それを挽回するために市は、
2000年に街の清掃、舗装、
景観改善のために通りの街灯などを
オレンジから青に交換したのだそうです。 

犯罪の激減というのはどうやら
この青い照明で麻薬常用者は静脈が
見えにくくなったせいらしいのです。

注射が打てないために麻薬常用者町から去って、
麻薬関連の犯罪が40%も減少したのだとか。

日本の報道では、
グラスゴー市の犯罪全般が激減した印象ですが、
グラスゴー市は麻薬関連以外の数値は
特に挙げていなかったということです。 

 

とはいえ、青は見る人に、B002 ピースボトル Peace Bottle
空や海などの広々とした世界や
水の冷たさ、爽やかさ、
ときには寂しさをさえ連想させます。

緊張や激しさを駆り立てる色でないことは
直感的にも感じられます。

エネルギーの暴走を押し上げて
犯罪に駆り立てるような動的イメージではなく、
逆に静かで行動を抑制するような働きが
感じられるのも事実ではないでしょうか。

やっぱり、
それぞれの色には固有の心理的エネルギーが
内蔵されているんじゃないでしょうか。

これからも色彩に関する
基礎知識や心理的話題を取り上げて
ご紹介していくつもりです。

また次回も楽しみにしていただけたらと
思っています。

m(_ _)m

pari 記

 


 
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