鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【笹色】ささいろ≫

日本の色について長いこと調べて書いてきたつもりですが、いまだに知らないことや知らない名前に出逢います。

この「笹色」もそう。

実は緑色ではなくなのです。

正確には紅(べに)の色

文政8年(1825年)と言いますから、江戸時代後期に日本橋に創業した紅屋「伊勢半本店」は、今も老舗として化粧品のみならず、絵の具の製造販売などを手がけているそうです。

この伊勢半によって作られ販売されていたのが、紅花からできた口紅(本紅)でした。

紅花の花びらに含まれる赤色色素はなんと、わずか1%。

赤色色素を抽出する際に、麻を使って取り出すと高い純度の本紅が作られます。

それを唇に塗るわけですが、濡れているときは赤色に、乾いたときには不思議なことですが、緑色に変化します。

正確に言えば、玉虫の羽のようなメタリックな緑色に見えるのです。

その緑色が笹の葉の色に似ていることから「笹色」と名づけられました。

どの紅でもそう見えるわけではなく、笹色の出現は、純度の高い良質な本紅の証とされたそうです。

文政期には、この本紅が花街の女性たちの間で大流行し、当時の浮世絵などにも描かれています。

紅花からわずかしか取れない高価な紅をさすことは、富の象徴であり、女としてのステイタスだったのです。

そうでなくても、不思議な玉虫色のメタリックグリーンの唇は、妖艶で魅力的だったことでしょう。

 

ところで、笹といえば「七夕」を連想します。

旧暦の七夕、今年は8月14日です。

本来、七夕の季節とは真夏。

このころなら間違いなく梅雨は明けていて、夏の星空が望めます。

七夕は短冊に願い事を書いて笹の枝に結びつけます。

短冊は5色あり、それぞれに意味があります。

中国から伝わった「五行説」に関連しているためです。

最後に、色と五行の関連、願い事の主な内容をまとめておきます。

☆緑色は「木」自己の成長など、人間力に関する願い事

☆黄色は「土」父母や先祖、自分のルーツに対する感謝の気持ち

☆赤は「火」友人や知人を大切に思う気持ち

☆白は「金」義務や決まりを守る気持ち

☆黒または紫色は「水」学業の向上や試験に関する願い事

七夕の夜、美しい星空が見られますように。

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

また、シンガーソングライターの一面も持っています。
6月26日に初のオリジナルアルバムのCDをリリースしました。
作詞作曲はもとより、ジャケットのイラストも自身の作品です。

 

「烏兎匆匆」
全7曲入り/1500円(税込)
こちらからオンラインで購入できます。
https://reiko-ayusawa.com/
当分の間、送料無料です。

 

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/396122

 

 

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