鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【黄櫨染】こうろぜん≫

実は以前から、この色を取り上げる日を心待ちにしていました。

そのときが、ついにやってきました。

しかも、新しい元号「令和」がスタートするこの日に配信されるなんて、どれほど幸運な巡り合わせでしょうか。

天の采配に心から感謝します。

黄櫨染とは、天皇だけが着ることができる、いわゆる「禁色」です。

平安前期の820年に嵯峨天皇が定めてから現在までずっと守られてきました。

天皇が儀式の際に着用する「袍」(ほう)の色が、この黄櫨染なのです。

平成2年11月に伊勢神宮で行われた天皇即位の儀で、平成天皇は黄櫨染の御袍(ごほう)をお召しになり、儀式用の馬車に乗って参道を進まれました。

私は最近になって、その映像をテレビで観たのですが、書物では知っていても「あぁ、ほんとうなのだ」と思い、感慨深かったです。

黄櫨染は、櫨(はぜ)の木から採った黄色と、蘇芳(すおう)の赤を重ねて染めた黄色みのある赤です。

強い橙色と言ってもいいかもしれません。

嵯峨天皇がこの色を定めた820年から、およそ100年後に編纂された「延喜式」には、その染め方が記されています。

しかし実際の色には諸説あり、複雑で微妙な色合いのため、はっきりとどの色が黄櫨染であるとは言えないようです。

ただ、光線の当たり具合で色の見え方が変わる、複雑で微妙な色合いだということです。

去る4月18日、平成天皇・皇后両陛下は退位を報告される儀式のため、伊勢神宮に参拝されました。

そのときの陛下の服装は黒のモーニング。
美智子皇后さまは白の洋装でした。

馬車は使わず、普通に宮内庁のお車での移動でした。

退位にともなうこの儀式に関しては、陛下のお気持ちによって決められたと聞いています。

なにか粛々と、あえて目立つこともなしに儀式に臨まれた、そこに陛下の奥ゆかしいお人柄を感じました。

この伊勢神宮参拝が、天皇・皇后両陛下にとって最後の地方訪問となりました。

伊勢神宮近くの沿道には多くの人々が、両陛下の姿をひと目見ようと朝早くから並んでいたと言います。

きっとこの後、令和天皇即位の儀でも黄櫨染の御袍をお召しになるはず。

繰り返しになりますが、天皇の儀式のときだけに許された衣の色です。

そう考えると一生にそう何度も出会えるものではないのです。

時代の節目にだけ出会える「特別な色」が存在する・・・かなりすてきなことだと思いませんか。

ありがとう平成。さようなら平成。

今日からはじまる新しい時代「令和」には、どんな出来事が待っているのでしょう。

より明るく平和な未来になるよう願わずにはいられません。

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
 

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詳細はこちら。
https://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/entry-12456463084.html

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2235.html

 

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