鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【梅紫】うめむらさき≫

初夏になると、スーパーマーケットの青果売り場に梅の実が出まわります。

一緒に氷砂糖や大きなガラス瓶もならびます。

最近では、梅干しを漬けたり梅酒を作ったりすることを「梅仕事」と呼んで、SNSなどにその様子を投稿する人が多くなった気がします。

何か丁寧に暮らしている感じがして、すてきだなと思います。

梅干しを漬けるときに欠かせないのが赤紫蘇(あかじそ)です。

あの赤い色はポリフェノール成分の一種、アントシアニンという色素です。

赤紫蘇は、梅干しに使うだけでなく「ゆかり」と呼ばれるふりかけにもなります。

余談ですが、この「ゆかり」という名前は、製造元である三島食品が登録商標を取得しているそうです。

できたものを買うのもいいですが、自分で手作りするのも良さそうです。

赤紫蘇の葉を梅酢に浸けたのちによく乾燥させ、パリパリになったものをミキサーやすり鉢で細かくして、最後に塩を加えます。

白いごはんに赤紫色のふりかけが載っているのは、品よく美味しそうに見えますね。

ところで「紫蘇」という名前の語源をご存知でしょうか。

昔、今の中国での出来事。

ある若者が食中毒を起こし死にかけたときに、紫蘇の葉を煎じて飲ませたところ、回復したことからついた名前だそうです。

和名の「シソ」は漢字の読みに由来します。

「紫色の蘇る草」という意味ですね。

だとすると、このときの薬草は赤紫蘇だったということになります。

梅干しに赤紫蘇を加えるのは、果肉を赤紫色にする目的だけでなく、成分による優れた効能もあるのでしょう。

赤紫蘇の色をイメージさせる日本の色名はなんだろう、と探してみました。

日本の色名に、紫色のバリエーションは多いのです。

「梅紫」という色がありました。

この色名は明治時代に誕生したそうで、決して古くはありません。

由来は残念ながら梅干しではなく、紅梅の花の色から来ています。

でも、ちょうど赤紫蘇の葉やそれで漬けた梅干しの色を思わせる、鈍い赤紫色です。

食欲が落ちたり、食品が傷みやすくなったりする梅雨の時期。

ぜひ赤紫蘇で漬けた梅干しに助けてもらいましょう。

そして梅仕事に精を出すみなさん、この時期ならではの暮らしを楽しんでくださいね。

 

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2341

 

 

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