鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【柑子色】こうじいろ≫

日本の暦には「七十二候」という、季節を表す言葉があります。

1年を二十四の期間に分けて表現するのが「二十四節気」です。

「春分」「秋分」「処暑」「大寒」など、みなさんも聞いたことがあるでしょう。

その二十四節気をさらに3つに分割したのが七十二候です。

ちょうど今の季節は「小雪」の末候(3つに分けた3番目)で、およそ12月2日~6日頃の5日間に当たります。

「七十二候」の言葉は「橘始めて黄なり」(たちばなはじめてきなり)で、橘の実がだんだん黄色くなるころを表しています。

 



七十二候で色が表現されているものは、そう多くはありません。

橘はミカンの仲間で、カンキツ類では日本に古くから自生していた唯一の品種だそうです。

『日本書記』に、不老不死の力を持った果実のことが書かれています。

『古事記』のなかで、それが橘のことだとしたことから、「右近の橘、左近の桜」として京都御所に植えられています。

黄色い実が目を引くこともさることながら、初夏に緑色の葉をつけ、白い五枚の花弁と黄色い花芯の橘は、植栽としても人気だったようです。

 



奈良時代には、元明天皇が宮中に仕える部下に橘の苗字を与えるなどして、橘氏が生まれます。

橘一族の家紋で使われているほか、時代が下っては1937年に制定された文化勲章のデザインも橘をあしらったものです。

古来より人気の高かった橘ですが、色の名前としては「かさねの色目」にその名がわずかに使われている程度です。

色名では、橘の変種である柑子(こうじ)の名前が「柑子色」として現在も残っています。

 


柑子色は、同系色の橙色蜜柑色に比べて、くすんだゴールドといった感じで秋らしい色あいです。

 


ちょうど今年の秋のファッションで流行した、マスタードイエローを少し暗くした色をイメージしてもらうとよいでしょう。

流行色でなくても、晩秋から初冬にかけて和服でも洋装でも、一度は着てみたくなる色です。

野山を彩る紅葉や、稲穂が実るきらびやかな秋が終わり、同じゴールドの仲間でも、柑子色の落ち着いた色がしっくりくる時期が今なのです。

そして冬本番の寒さになるにつれて、もっと暖かみのあるレンガ色や、クリスマスを思わせる鮮やかなレッドなどを手に取ることが多くなります。

そんなふうに季節とともに、心惹かれる色もまた移り変わります。

 

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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。

http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

 

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お申込み・お問合わせ reiko@colors-garden.jp

その他のスケジュールはこちらで確認できます。

http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

 

 

色見本参考:

https://www.colordic.org/colorsample/2203.html

https://www.colordic.org/colorsample/2241.html

https://www.colordic.org/colorsample/2240.html

 

 





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