青磁色は中国を起源とする陶磁器の色からついた名前で、淡く渋い青緑色です。
英語名はCeladon(セラドン)と言います。
春になると、決まってこの色に惹かれる私は、今年、淡い青磁色のスプリングコートを購入しました。
春霞がうっすらとかかり、芽吹いたばかりの若葉の緑色があいまいな輪郭で野山を覆うような、そんな色のコートです。
これを着たらどこか遠くに行くよりも、近くの公園かオープンテラスのカフェで、ただただぼんやり過ごしてみたくなります。
この色は陶磁器の色と言いましたが、起源は古く、原始的なものが生まれたのは紀元前14世紀ごろとされています。
植物の灰から作られた釉薬は鉄分を含み、それが1200度もの高温で焼かれることで、青緑色のガラス質になります。
もっとも、この製法が洗練され安定して確立したのは、もっとあとのことです。
中国にはじまった青磁は、長い年月をかけて広い地域へと伝播していきます。
タイやベトナムの東南アジア、西アジア、そして朝鮮半島を経て、もちろん日本にも。
日本の文献に最初に青磁が現れたのは11世紀ごろのことです。
唐物と呼ばれる、海外から品物の輸入が盛んになっていきました。
その後、鎌倉時代から安土桃山時代に発達した茶の湯において、青磁は人気の陶磁器となります。
侘び茶の第一人者となった村田珠光が好んだからです。
特に「下手物」と呼ばれる、青くならなかった青磁にも価値を見いだして珍重しました。
灰色みを帯びた黄色や、褐色の青磁です。
その後も彼の弟子たちによって、珠光好みの青磁の魅力は受け継がれていきます。
日本で青磁の生産が行われるようになったのは、16世紀の末からです。
朝鮮半島から連れてこられた陶工たちによって、青磁の製法が伝えられました。
江戸時代、青磁は九州佐賀藩の鍋島と結びつき、独自の発達を遂げていきます。
青磁に青い染付けを施したのです。
中国でも朝鮮半島でも見られない独特の表現でした。
こうして青磁色の陶磁器は、日本独自のものへと発展していきます。
日本の伝統色を扱った書物やサイトを見ると、青磁色は必ず載っています。
欠かすことのできない代表的な日本の色と言えるでしょう。
和装にも和のインテリアにもよく使われます。
元は朝鮮半島を経て、中国から伝わったことを忘れてしまいそうなほど、すっかり日本の文化や生活に溶けこんでいる色です。
私は春になると、やはりこの色に心惹かれます。
日本的ななかにも、もしかしたら大陸的ななにかを感じているのかもしれません。
温かいような冷たいような、うきうきするようでちょっと憂鬱な・・・うまく言葉に表せない、なんともあいまいなところが春のはじまりと似ていて、そんなところが魅力なのかもしれません。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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英国オーラソーマアカデミー資格講座 レベル2
日程 2017年5月1日(月)~2日(火)、
10日(水)~11日(木)、
15日(月)、19日(金)全6日間
会場 栃木県宇都宮市宝木町 カラーズガーデン
費用 142,000円 (税込・テキスト代・修了書含む)
※再受講/64,800円(税込)
講師 鮎沢玲子
お申込み・お問合わせ reiko@colors-garden.jp
その他のスケジュールはこちらで確認できます。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:
http://www.colordic.org/colorsample/2102.html