鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【辛子色】からしいろ≫

辛子色は秋になると気になる色のひとつです。

昨年の秋冬はやけにこの色に惹かれ、服やバッグや帽子など、辛子色のものをいくつも買いました。

身につけると不思議に気持ちが落ち着くのです。

辛子色のワンピースに、同じく辛子色のベレー帽。

またある日は辛子色のカーディガンというように、この色のファッションを楽しみました。

実は、以前は苦手な色でした。

パーソナルカラーを見てもらったときに、自分の肌がブルーベースであることを知り、黄色みのある辛子色は私には似合わない・・・と思いこんでいたからです。

辛子色だけに「食わず嫌い」だったわけです。

でもうまく探すと、意外に似合う黄色もあるのだと実感しました。

先日、出張で仙台に行ったときのことです。

涼しくなってきたこともあり、夕食に行った居酒屋さんで食べたおでんが、なんと美味しかったことか。

二晩続けて食べに行ってしまいました。

当然、おでんには辛子がつきものです。

和食で使われる「和からし」と、洋風な「マスタード」の違いをご存じですか?

どちらもアブラナ科の「からし菜の種子」を使うのですが、製造方法が違います。

和からしの方は、種子をすりつぶして粉辛子を作ります。

この状態でも販売されています。

私は、この粉辛子を納豆にそのまま入れて使うことがよくあります。

おでんに使う場合は、粉辛子をぬるま湯で溶きます。

錬った状態でチューブに入っている和からしより、辛み成分が新鮮な感じがして、こちらの方が美味しいです。

見つけたら、ぜひ粉辛子を買ってみてください。

洋食に使うマスタードの製造方法は、アブラナ科のからし菜の種子に、ビネガーや砂糖、ワインなどを加えて作ります。

種をすりつぶして錬る場合もありますし、すりつぶさずそのまま残す粒マスタードなど、さまざまな方法があります。

また、そもそも違う種類の粒から作られることもあるそうです。

ソーセージやローストビーフなどのイギリス料理に使う場合と、ホットドッグやハンバーガーに使うアメリカのマスタードなど、辛さや風味などまったく違います。

料理に合ったマスタードを探すのも、また楽しみです。

辛子色の話に戻ります。

香辛料としての辛子は、奈良時代にからすでに存在していました。

前述に粉辛子が調理に広く使われていたことが「正倉院文書」「延喜式」にも記されています。

その割に、辛子色という色名は昭和以前にほとんど記録がないのです。

食欲の秋。

美味しいものがたくさん食卓に上ることと思います。

同時に秋はおしゃれを楽しむのに良い季節です。

食卓でもファッションでも、辛子色が活躍するのでしょう。

私は今年も辛子色の服を楽しんでいます。

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2183

 

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