今回は、この季節にぴったりの色をご紹介します。
「露草色」です。
「露草色」は日本に古くからあり、夏に自生する植物「露草」(ツユクサ)の花弁の色からついた名前です。
ツユクサは6月から9月ごろに咲く一年草で、東アジアの温帯地方に広く分布しています。
道ばたや小川のふちなど、どこにでも見つけることができます。
早朝に小さな花を咲かせ、夕方には萎んでしまいます。
朝露に濡れて咲く小さな青い花。
太陽が登り地面が乾くにつれて、ツユクサの花は夕方に向けて短い寿命を終えていくのです。
英語では「Day Flower」という名で、一日だけの花という意味です。
儚さを愛した古来の日本人が、この花を歌に詠まない訳はありません。
ツユクサを詠んだ歌はたくさんありますが『万葉集』のなかのひとつをご紹介します。
「月草(つきくさ)に 衣は摺らむ 朝露に
濡れての後(のち)は うつろひぬとも」作者 不詳
「ツユクサで着物を摺り染めにしよう。
朝露に濡れた後では色褪せてしまうとしても」
直接の意味としてはこんな意味ですが、色が褪せやすいことと
人の心が移ろいやすいことをかけているのです。
また、長く持ち堪えることができないとわかっているのに、あえてその色で染めてみるのは、実らぬ恋に向かっていってしまう人の心のようでもあります。
月草とはツユクサの別名です。
花びらを摺って染料にしていたのですが、洗うとすぐに色落ちしてしまいました。
それを逆に利用して、友禅などの下絵を描くのに使われることがあります。
ツユクサは花の寿命も短いし、染料にしても色の寿命が短いのです。
どこにでも見ることができる、言わばありふれた花ですが、身近なもののなかに見る儚さこそ「もののあはれ」を感じさせたのかもしれません。
ところで、ツユクサは食べることができるのだそうです。
私はまだ食べたことはないのですが、普通のお野菜のように、お浸しや和え物や炒め物にして食べられるそうです。
アクもないので、新芽のところなら生でサラダにも。
そして可憐な青い花はエディブルフラワー(食べられる花)としてサラダの飾り付けや、飲み物に浮かべたり。
夏の食卓がすてきに演出できそうです。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
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ギターを抱えた、かっこいい写真も掲載されています!
色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2083