鮎沢玲子さんの日本の色で学ぶオーラソーマ  ≪バイオレット≫

オーラソーマの授業では、まず「色の言語」を学びます。
それはオーラソーマのシステムにおいて木の幹のように基本的な部分です。
オーラソーマはイギリスで生まれたものですが、私は以前から日本人ならではの感性で「色の言語」をもっと深く探求できるのではないかと考えてきました。
そのようなことから、毎月連載中のこのコーナーでは、毎回「カラーローズ」のなかの1色をピックアップし、日本の色名、歴史、文化、季節感などと関連付けてお伝えしています。
さて、今回取り上げるのは「バイオレット」です。
セカンダリーカラー(二次色)であるバイオレットは、プライマリーカラー(一次色)のブルーとレッドが混ざってできる色。
日本には、まさにこのことを言い表している色名があるのです。 それは「二藍」(ふたあい)という名前です。

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平安時代から盛んに使われた伝統ある色名「二藍」の語源は、「二つの藍で染めた色」から来ています。
ひとつめの藍は、藍染の染料となる藍草のことで、青い色に染まります。もうひとつの藍は呉藍(くれのあい)で、中国から伝えられた染料を意味します。
当時、すでに呉の国はなくなっていましたが、中国伝来のものに「呉」の文字を冠していました。そして染料のことを総称して「藍」と呼んでいたのです。後にこれが紅(くれない)の語源になることからもわかるように、赤く染まる紅花染料のことです。

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二藍は、藍草(青)と呉藍(紅花の赤)を重ねて染めることで生まれる紫色です。
二つの色の配分によって、さまざまな紫色が得られますから、特定の色を指してこれが二藍だとは言えないのですが、藤の花の色を少し濃くしたような色あいが、特に平安時代には好まれていたようです。オーラソーマで言えば、56番のボトル「セント・ジャーメイン」のようなペールバイオレットです。
古典文学『枕草子』の中で清少納言は、夏にこの色は涼しげで好ましい、というようなことを書いています。平安朝のトレンドリーダー(?)であった彼女がそう書いているのなら、この時代の人々にとって二藍は、ある意味で流行色だったのかもしれません。
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そして、紫式部の『源氏物語』のなかにも、この色の名前が出てきます。
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ところで、「冷静と情熱のあいだ」という映画が、今から10年ほど前にあったのをご存知ですか? もとは1997年に二人の作家(江國香織と辻仁成)によって連載が始まった小説が原作です。
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同じ時系列に起こる出来事を、江國は女性主人公の目線で、辻は男性主人公の目線で描き、連載は1回ごとに交代する、という斬新な手法でした。
小説の連載が完結すると、江國のパートは赤い装丁で「Rosso(ロッソ)」、辻のパートは青い装丁で「Blu(ブリュ)」という名前がつけられて、別々の単行本として発売されたのです。
二藍はまさに冷静(青)と情熱(赤)によって染められた色です。
または男性性のブルーと女性性のレッドが混ざり合ってできる色。
でも、逆の解釈もできますね・・・ブルーが女性性の受容性や創造性で、レッドが男性性の現実化する力のように。
いずれにしても人は生きていくなかで、女性であっても男性性を使ったり磨いたり、また逆に男性であっても女性性を身につけたりしていきます。
生きるということは、ブルーとレッドを自分の中でひとつに統合していくこと、自分のなかに全体(ホリスティック)を創造することです。
バイオレットを生み出す「二つの藍」が、あなたのなかで見事に統合されますように。

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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/2030.html 画像提供: http://had0.big.ous.ac.jp/index.html

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