私の10月は、いつもこんなふうにはじまります。
よく晴れて空気が澄み渡り、どこからか、金木犀(きんもくせい)の香りが漂ってきます。
湿度が下がり空気が澄んでいるせいか、遠くの山々の輪郭がはっきりと見えます。
秋晴れの空はどこまでも青く、薄い筋雲が刷毛で引いたように空に浮かんでは消えていきます。
このときの空の色は、明るい青。
日本の色名には、そのまんまの「空色」があります。
もっと洒落た言い方をするなら、
同じ色を「空天色」(くうてんしょく)とも呼びます。
またはやはり同じ色で「碧天」(へきてん)なんて名前を知っていたら、ちょっと自慢できますね。
碧という文字は、緑がかった青色で、碧玉は青く美しい玉、碧眼は青い目のことです。
ところで、青天の霹靂(せいてんのへきれき)という言葉があります。
突然に生じた衝撃的な出来事のこと。
前触れなく突如として起こり、人や世間を震撼させるような事件や事変。
あるいは知らせを受け取ったときの、大きな衝撃のことを言います。
晴天とは青く晴れ渡った空で、霹靂とは雷鳴のことです。
オーラソーマの概念で青(ブルー)は平和の色です。
https://artbeing.com/aura-soma/equi/B002.html
すべてを手放しているので空っぽで、何にも執着がありません。
何も事件は起こりそうもないのですが、そこに突如として鳴り響く雷鳴、事態は急転直下。
でも、その衝撃をも手放すことができる、それが真のブルーです。
あなたの人生にもそんなことが一度や二度はあったもしれません。
時に青天の霹靂は、私たちのブルーが本物であるかを試します。
外側で何が起きていても、心の内側が本当に平和でいられるかを。
日本の染色技法で空色は、藍による下染めの色です。
藍の染料で軽く染めるとこの色になるのです。
藍染が発達した江戸時代には、手軽に染められるため、熨斗目(のしめ)と呼ばれる武家が着用した着物や、羽織の裏地、下着などにも広く使われていました。
特にお洒落だからという理由ではなく、一般的に染めやすくて多く流通していた色がこの空色だったのは、日本人にとって偶然ではないのかもしれません。
新しいウィルスに翻弄されたままで、もう10月。
2020年の残り四分の一をどう生きようか。
秋の晴れ渡った空色を思いっきり吸い込んで、深呼吸をしてみる。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2089