「ニュー・ブリス(新たな至福)」

私たちにとってはヴィッキーさんはオーラソーマの創始者として記憶されています。

もちろんそれに間違いはないのですが、しかし最終的にその天命を実現するまでに、彼女はこの世に誕生してからも多くの準備を重ねてきたのですね。

幼児のころからのお父さんとの週末のお出かけ。

この日は最後のお決まりは、テムズ川の北にあるロンドンの広大な公園ヴィクトリア・パークで、ここでヴィッキーさんはお父さんからいろいろな植物の手ほどきを受けたのでした。

それから16歳になって家出をした後に、ひょんな縁から働くことになったホースレー薬局。

ここでヴィッキーさんは古いタイプの調剤師であったホースレー氏から薬剤師として必要な実務上の知識を学び、ハーブについての知識を体系的なものにしていったようです。

そしてじきに師匠のホースレー氏の能力を越えて、ローションなどヴィッキーさん独自の化粧品や薬剤を調合するようになっていったのですね。

今回ご紹介するお話は、ヴィッキーさんがホースレー薬局で調剤師として働いていたころに起こった挿話のようです。

それにしても、大変な能力ですね。

時代は第二次世界大戦の最中で、ドイツ軍によるパリ占領でフランスはすでに降伏しており、しかもアメリカが参戦する前という、イギリスの一般市民にとっては一番展望のない苦しい時代だったでしょうね。

そんな時代背景の中でも、ヴィッキーさんはとても生き生きと有意義な人生を送っていたようです。


22 小さな奇跡


戦時中のこと、私は薬局で一日中働き、それぞれの人に合った処方をし、好評を得ていましたが、そんなある日、古い友人である近くの空軍基地の上級士官が訪ねてきました。

「実は、僕たちのキャンプには問題があってね」と言って、彼はにやりと笑いました。
「毎週金曜日に、装具の点検があるんだ。それで士官が交替で宿舎を回るわけだが」その笑みはますます広がり、「想像してごらん、ヴィッキー。男どもが全員その宿舎で寝てるんだ。寄宿学校なんか、これに比べりゃ可愛いもんだ。玄関に立っただけでももうイチコロなんだぜ。一番近い部屋から、少なくとも二メートルは離れてるっていうのにだよ!」


私もつられて笑っていました。
なるほどそれはよく理解できる問題で、足臭症 bromidrosis(足の汗と匂い)と呼ばれるもの、その臭いの何のって。
私がのちに選んだキロポディという職業にあっては、日常茶飯の脅威です。

体臭のなかでも、これは特別で、少なくとも百キロ先からだって臭うでしょう!
必要と挑戦に直面すれば、受けて立たずにはいないのが私の性格で、めでたく瞑想のなかから誕生したのが「ニュー・ブリス(新たな至福)」でした。
この名は「新たな朝にはいつも至福がある」という聖歌から取ったものです。
それはさっそく商品となり、感謝の声があちこちで上がり、私のクリニックでも調合され続け、たくさんの人に安心と平和を届けました。

ここで言っておかなくてはならないと思うのですが、私が霊感によってつくった調剤には、いつもさまざまな効用があるのです。
ときどきほんとうに鋭い直感で私を驚かせたマーガレットは、「ニュー・ブリス」を痔に使うことを思いつきました。
最初に試してみたのは、医者の奥さんでした。
それまでに、足の匂いと汗からすれば可愛いものである、胸や腿の発汗にも効果があるとわかっていましたが、他の薬が効かなかったどんな場合にも、これは効果を上げたのです。

この調剤には、特に攻撃性を和らげたり、脅威や動揺を感じるようなあらゆる状況を和らげるエッセンスが含まれています。
虫刺されや足首の腫れ、ねんざなどすべてよく効くようです。
私はずっと「何にでも効く」と言うのに抵抗を感じていましたが、50年にも渡るフィードバックによって、認識を改める必要を感じるようになりました。
足のためにつくられたローションの驚くべき効果を、否応なしに知るに至ったのです。
「ニュー・ブリス」はその後「フットホールド」と名前を変え、今では「ケアフリー」と呼ばれています。

私の「子どもたち」はすべて、瞑想と霊感を通して生まれましたが、それぞれはっきりと自分の生命と目的と意志を持っているかのよう、そのなかに、光そのもの、つまり絶対者が何をもたらしたかについて私が感じられるのは、エッセンスの持つ生命力と生きたエネルギーだということだけです。

『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p243-244)


 

足臭症に「ニュー・ブリス(新たな至福)」とは……。(*^_^*)

『聖書』の言葉から採ったヴィッキーさんがの命名なんですね。

マーガレットとのクリニックでも販売していたようですから、もしかしたら他の薬局へも卸していたのかもしれませんね。

pari 記

 

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