鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 ≪【蕎麦切色】そばきりいろ≫
この色は、打ち立てのそばを茹でたときのような、控えめで自然な色です。
江戸時代、特に江戸での外食産業の花形は、そば屋でした。
どの町にも必ず1軒はそば屋があり、移動販売の屋台の店も多数。
江戸前落語の代表作「時そば」は、夜鷹そばとも呼ばれた、夜に営業する屋台の店が舞台です。
それくらい、庶民になじみのあるものだったのです。
余談ですが、今も残る「二八そば」という言葉・・・江戸時代、一杯のそばの値段が、だいたい十六文と決まっていて、それを二八と言ったそうです。
ストレートに数字を言わないあたりが、江戸特有の「粋」に通じたのかもしれません。
粋といえば、そば屋で軽く一杯というのが、本物の粋なお酒の飲み方、という話。
昔のそば屋は、注文が入ってから打ったので、時間がかかったそうです。
お客は、その間に軽い料理をつまみながら、日本酒を飲んで待っているというのが定着しました。
そばが出てきたら、さっと食べて長居をしないで帰るのが、江戸の人たちの粋な飲み方になったのかもしれません。
そばの色とひとくちにいっても、実際には開きがあります。
そばの実の皮を取らずに挽いた粉を使うのを「藪系」と言います。
殻がついた状態の実を「玄蕎麦」と呼ぶように(玄とは黒を意味する)それを使うと、そばの色が黒っぽくなります。
一方、殻を取り去って、実だけを粉にして使う「更科(さらしな)そば」は、色が白くなります。
この辺は、好みが分かれるところです。
そばを日本独自の食べ物のように思いがちですが、実はヨーロッパにもあります。
近年、日本でも有名になってきた、そば粉のガレットをはじめ、クレープやパンケーキなど。
フランスの北西部に位置するノルマンディーやブルターニュ地方では、土地がやせており、気温も上がらないため、小麦も葡萄も取れませんでした。
そこでも栽培できた植物が、そばだったのです。
話を日本に戻しますが、そばの実の収穫は年に2回あるそうです。
秋に収穫される方が一般的ですが、春に種を蒔いて夏の盛りに収穫される夏そばもあります。
そのシーズンがもうすぐですね。
今年は、夏の新そば粉を使った手打ちそばを味わってみたいと思います。
できれば粋な浴衣などを着て。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/2416.html
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