『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』

書名:『わかっちゃった人たち 悟りについて普通の7人が語ったこと』 原題  Everyday Enlightenment
Seven Stories of Awakening 著者  サリー・ボンジャーズ 訳者  古閑博丈 発行  ブイツーソリューション 発売  星雲社(2014年1月20日初版第1刷発行)
私評:
しばらくぶりに新しい本をご紹介します。
本のタイトルもちょっとポップな感じを出していて、とても軽いノリの翻訳書です。
ですが、これが内容が素晴らしい、そして翻訳もすばらしいです。
わかっちゃった人たち

普通悟った方が語った言葉となると、それなりの威厳とか体裁があるわけですが、ここで自分に起こったことを話している方々は、まったく普通の市井の生活を営んでいる方々です。
「悟り」が起こった後も、普通の生活をつづけている7人の方々のインタビューからなる本です。
いわゆるスピリチュアル教師たちが書いた本とは明らかに印象が違います。
最近は、実際は悟っていても、まったくそれふうに振る舞わない教師たちも現れていますよね。
でも自分からそのような話題について語る方々には、どうしても教師としてのそれなりの雰囲気があります。
でもこの『わかっちゃった人たち』のなかで話している七人の方々は、ほんとうに普通の生活をつづけているので、おそらく、ごく身近な方以外にはいわゆる悟った方とも認知されていないでしょう。
本人が特に隠しているわけでなくても、そんなことに興味のある人などまずほとんどいないわけですから。
普通の話題としては、話すタイミングがないのが当たり前です。
だからかえって、いわゆる覚者方の本にはない、人格にハマっている周囲の人たちとの距離感が際立つ場面もあるようです。
小説なら、そちらのほうが面白いかもしれませんね。(^_-)
どの人にも、とても自然なその人らしさがあります。
もしかして自分に似たようなタイプの人がなかに見つかるかもしれませんよ。
たとえば、オーストラリアのI.D.Aさんは、こんな感じです。
——————————————————————–  実際には、どんなことについても何も意味はないんだ。  人生はまったく無意味。  目的もない。  我々はどこかへ向かっているんですなんてこともない。  何も起こってない。  向かうべき場所なんてどこにもない。  できることも何もない。  「する」ということが起こって、「行く」ということが起こって、いろん  なことが起こる。  でも、そこには実際には何も目的はないんだ。  どんなことにも何も意味はない。  すべてがまったく無意味なんだ。  でもマインドはものごとに意味づけなするよね。  意味づけなすれば安心できるから。  何かを知ってれば安心できるから。  ものごとを理解したり、何かに納得したり、意味づけをしたりすれば、マ  インドは安心していられるってわけ。                     『わかっちゃった人たち』(p82-83) ——————————————————————–
まったくぶっきらぼうな言い方ですが、話の内容は『神との対話』の神様とまったく同じですね。(^^;)
また、たとえば、アメリカのT・Fさんという方はこんな感じです。
——————————————————————–  そういう人たちに話しかけられて、友だちになったりもします。  教えみたいなものが出てきたりもします。  でも最近はそうでもないですね。  そういう人たちの物語を「僕」という人間の観点から見るような形に作り  変えなくてもいいからです。  自分の物語にはまってる人たちと、そのままただ接していたっていいんで  すから。                    『わかっちゃった人たち』(p152) ——————————————————————–
またT・Fさんからはこんなふうの表現も出てきます。
——————————————————————–  ここでこうやって座って話してると、マインドを使いますよね。  それが仕組みなんです。  この対話ではマインドや記憶を使っていて、言葉を使って明確に表現しよ  うとしてます。  でも教えが指し示しているのはここで展開していることとは違います。  教えが指し示しているのは、そういうことすべてがその中で起こっている  何かなんです。  それは、録音するのを止めてから部屋を出てからここにあるもので、あな  たがエレベーターで下に降りて扉を出たときにここにあるものです。                      『わかっちゃった人たち』(p154) ——————————————————————–
なんか面白いですよね。(^^;)
だんだんそんな時代になってきたんですね。
pari 記

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