傷みと捉えてきたものの核

傷みと捉えてきたものの核
「ボトルとともに過ごしてきた時間の濃密さを感じる日々の中で」から                               石黒寛子
       現れの世界ではいちど現れたものは必ず変化し、そしていつか消えていきます。
子供のころあれほど輝いているようだった人生が、けっしてその輝きのままにとどまってはいないのだとわかるのは、年齢にすればいつのころのことなんでしょうね。
それとも、人生の輝きが一生つづくというような方もいるのでしょうか?
いや、それはちょっと考えられませんよね。
誰にとっても、人生は必ず幸福に向かって努力しなければならないものなのでは、と思ってしまいます。
ついつい、どうして人生は子供のころのあの輝きのままでいてくれなかったのかなぁ、とも思ってしまいますが、でもそれは無理な願いなのでしょう。
そしてその“無理な願い”の代わりに、人生に与えられているのが“学ぶ”ということなのかもしれません。
だから、人は誰もが未来の幸せに向かって、学ぶ努力をするのかもしれませんね。
でも、学びつづけたからといって、これまた必ずしも幸せになることが保証されているわけではありません。
というか、むしろ学んでも学んでも、学ぶことによっては幸せにはなれないような気もします。
それでも、学びつづけ、努力しつづけるしかないわけですよね。
あれ、なんか変なことを言ってしまっているような。(*^_^*)
でも、どう努力しても、いずれにせよ人生には山あり谷ありですよね。
人生で乗り越えなければならないいくつもの挑戦課題が現れるのは避けられないことだと思います。
でも挑戦課題が現れたときって、やっぱりちょっと萎縮しますよね。(^^;)
ところが、そのチャレンジの前に萎縮する“痛みの核”に、じつは秘密の鍵が秘められていることがわかることがあるそうなのです。
今回は、石黒寛子さんの記事のなかからその辺りに触れた部分をご紹介しましょう。
       —————————————————————— 仕事柄、ときとして歓迎するのが難しいもの、ひた隠しにされた裏腹な気持ちや、人を利用しようとする思いを敏感に感じ取ってしまうことがたまにある。 そして、傷つくというよりもむしろ、その背景に見え隠れする、こんな状況に至るしかなかった先方のこれまで歩んできた物語を想って、心が悲しみでいっぱいになってしまう。
そんなときはいつも、遠い昔同じだった頃の自分を、自分の中にわざともう一度蘇らせて重ねてみる。 きっと、誰しも影の部分は持っている。 相手といったん同質になることで理解し、その闇と同量の光(愛)を、さらに自分の中に同時に存在させて、ゼロにする。  
ピンクとバイオレットの光線は、傷みを排除しようとしないで、影と同量の光を注ぎ込み、癒していく一連の作業をいつも見守ってくれた。 ゼロになることで左右に振り切れていた感情の振り子は中心に戻り、ニュートラルになり、距離を持って見直すことができる。 同量ではなく、それ以上の溢れる愛で包み込もうとすると、そこから先はきっとエゴになってしまうだろう。
そんなことをしなくても、ゼロになった時点で両者の間には、いつのまにか愛が行き交っている。 対象に働きかけようとするのではなく、自然と花開く相手の可能性を存分に引き出しあえる関係性に持っていくだけで、いつもじゅうぶんだった。
そう、傷みだと思って排除しようとしていたものの中にこそ、それをギフトに変えるための鍵がある。 次なる一歩へのゲートはなんと、傷みと捉えてきたものの核そのものだった。 チャレンジとギフトという言葉がイコールで結びつくことに納得がいった瞬間は、今でも忘れない。
幾重にも覆われた防御の層を超え、核心へと迫っていくときの勇気は、はかりしれないものだが、ラハシャのカウンセリングスキルのコースでもその様子をいくつか目のあたりにしたし、一度これを体験すると、深みを帯びた確かさとなって、そのあとの自分を支えてくれる。
身をもって体験するということは、つくづく貴重なことだと思った。 マニュアルから知識として得た言葉だけではクライアント様の胸に響かないが、プラクティショナーの実体験と結びついて自然と出てきた言葉は、その場全体に染み渡り、コンサルテーション自体の質をぐんと高めてくれる。 相乗効果でお互いが解き放たれ融合していくのを、しっとり感じることができる。 あの、部屋全体がいっぱいに満たされる感覚は、なんとも例えようがない。 さらに言い知れぬ感謝の想いも加わって部屋から溢れ、家中に広がり、外へと放射されていくようだ。 だからこそどんな小さなことでも、大切に、丁寧に捉えていきたいと思う。 今日に起きる微細な出来事への自身の気づきと変化が、まわりと響きあい、世界の大きな変化に直結している。
『リビング・エナジー』Vol.6(p100)

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なるほど。
「傷みだと思って排除しようとしていたものの中にこそ、それをギフトに変えるための鍵がある」……。
それぞれの人が体験的に確信した事柄のなかから、また新たな人生の内容が紡ぎだされていくのでしょうね。
誰もがそのなかで幸せを探しているのだと思います。
pari 記

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