カモミールは植物の医師
「カモミールについての覚え書き」より クローディア・ブース
今日は少し雰囲気を変えて、イギリスの農家の庭先の匂いを嗅ぎに行きましょうか。
わたしは日本人なので、もちろん“イギリスの農家”の匂いは知りませんが、子供の頃に体験した日本の農家の匂いは思い出します。
とはいえ、たぶん現在の農家の匂いではないかもしれませんが。
母の実家で最初の強烈に体験したのは、牛舎の寝藁を積み上げた堆肥の臭いだったので、それは「匂い」というよりは、「臭い」と書いたほうがいいような“臭い”だったかもしれません。
でも「臭気」を暗示してしまう文字よりは、やはり懐かしさのニュアンスを包含できる「匂い」の字を使いたいような気もします。
「匂い」は“過去の記憶”を呼び覚ます力がとても強いような気がします。
ここでクローディア・ブースは、イギリスでは誰もが知っているはずの“農家の庭先の匂い”を、カモミールの匂いだといっています。
ツンと鼻を突く、しかし素朴さと懐かしさを感じさせるいい匂いですよね。
ハーブティーの匂いですものね。
この「カモミール」、西洋ではとても一般的なハーブのようです。
ご存知かもしれませんが、こんな感じの可愛い花です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/カモミール
ではクローディア・ブースに、西欧世界での「カモミール」について案内していただきましょう。
——————————————————————– カモミールは植物の医師
カモミールという言葉は、二つのギリシャ語――大地を意味する「カモス」と、リンゴを意味する「メロス」――の組みあわせとしてはじまったと思われ、この植物の低く育つ習性と、新鮮な花にリンゴのような匂いがある事実からきています(Smith、1963)。……
カモミール(chamomile またはcamomile)は、長年ヨーロッパとアメリカで利用され、耕作されてきました。 過去五百年間、このグループの植物を含まない西洋ハーブの出版物はまずありません。 タイラー(Tyler、1933)は、ドイツ人はこれを「alles zutraut」(なんでもできる)ハーブとして言及して、ヨーロッパでのその評判を他の文化圏でジンセン(薬用人参)に与えられている地位と比肩しています。
カモミールは、新鮮さと清浄な外気を感じさせる独特の香りを持っています。 この香りはしばしば、これが地面の亀裂にはえて、人の足で踏まれて鼻にツンとくる匂いを放つ農家の庭を連想させます。 おそらく何代にもわたってこれが農場の堆肥の原料であったため、そして多くの農家の庭で見かけられたからなのでしょう。
カモミールについて、もっと知ろうとインターネットで探していて、私は Purplesage.org で次の文章を見つけました。
「カモミールが植物の医師として知られているのは、病気の植物の隣に植えると、その植物が回復すると言われるためです。 アングロサクソンによってマイテンという名で知られ、神オーディンによって世界に与えられた9 つの聖なる薬草のひとつとされています。 その根は伝統的に歯痛を和らげるためにガムのように噛まれました。 カモミールは精神的混乱、不安、怒り、けいれん、118 119ズキズキする頭痛、耳痛、歯が生えるときのトラブル、激しい空咳、月経困難、下痢などのためのホメオパシー調剤の中でも使用されています」
ずっと昔からカモミールの花の抽出物は、髪の毛の色を薄く染めるのに使われ、今でも多くの調髪剤に含まれています。
カモミールは通常、安らかな夜の眠りを約束するもの、また寝つきをよくするものとして、寝る前に飲むものとして使われました。 変種によっては淡い青の染料として用いられるものや、薄く青みを帯びたすばらしいチザン(ハーブ茶)になるものもあります。 ペールブルーという色の署名から、心の平安をもたらすのに有益だろうと予想するのは難しくありません。
また、ビアトリクス・ポターの本によって、これがマグレガー家の庭での厳しい試練のあとに、ピーターラビットの母親が彼のために作ってあげたお茶としても、多くの子どもたちに知られています。 『リビング・エナジー』Vol.6(p118) ——————————————————————–
なるほど。
でも、ご存知でしたか、「メロス」がギリシャ語で“りんご”の意味だったって?(@_@)
太宰治は、そのことを知っていたでしょうかね。(^^;)
ピーターラビットがお母さんにカモミールのお茶を出してもらったと知ることは、イギリスの子供たちにとっては、ピーターが日常空間に戻れたことを暗示する何よりのサインだったのかもしれませんね。
pari 記
Twitterブログパーツ