こころのウイルス その4

こころのウイルス/ドナルド ロフランド ¥1,995 Amazon.co.jp
「こころのウイルス」最終回です。前回の続きです。。。
ここで「お金」ということにまつわる「こころのウイルス」を見ていきます。
豊かな人生を生きるうえで、内面的なこころの豊かさは大切ですが、それと同時に、それを反映する物質的な豊かさも大切です。 「お金」はひとつのエネルギーであり、その豊かさの象徴です。 このグループでは、その豊かさを妨げているこころのウイルス、プログラムがあるとすればそれは何だろうか、ということに気づき、そのことに働きかけていきます。
そうすることで、自分が望む豊かな人生を生きていくことができるようにサポートしていきます。
それはともかく、もう少し心理学的な用語を使うと、こころのウイルスというのは、無意識のこころにとりついて、こころの誤作動を生じさせ、こころに不調和をもたらすプログラム、ということができます。
こころのウイルスの実体は自己否定的、自己破壊的な思考パターンということです。
もともと私たちは、生まれたての赤ん坊の時には、まったく無垢の状態でした。 それはマゼンタの宇宙の愛のなかに生まれ、愛そのものであったともいえます。
赤ん坊を見ているだけで愛情を注ぎたくなってしまうのは、赤ん坊は愛そのものと一体だからだともいえるでしょう。
それが反抗期などになってくると、にくたらしく思えたりするのは、そこに自我が芽生えてきて、成長してくるからなのです。
その自我は、両親や教師、友人、社会などの教育や感化、そしてその生育過程でのさまざまな体験によってなされていき、人格を形成していくわけです。
それらのすべての根本には、あらゆる人間の行動は苦痛を避けて、快楽を求める、という動機づけによってなされる、という原理があります。
つまり、苦しくつらい心理状態、例えば怒り、憎しみ、恐怖、嫉妬、無力感、落ち込みやウツ、羞恥心などを感じるような行動は避けようとしますし、楽しく満足な心理状態、例えば喜びや安心感、ここちよさや親密感、自由な気持ちや平和な気持ちや愛情、幸福を得られると思えば、それを求めようとします。
何を快楽と感じ、苦痛と感じるかは、その人の生理状態、現実認識に対する意味づけや解釈、ものの見方などの内的表象、その人の価値観や信条、期待などとの整合性によるとされています。
私たちは生育過程で学んできた学習によって、ものごとを「快楽」と「苦痛への恐れ」のどちらかに無意識的に判断して分類し、その判断に基づいて行動しているというわけです。
ところが、ものごとを見ることひとつとっても、私たちは現実を見ているようでいて、実際には現実を見ていません。
いつも自分の価値判断や信条、期待、欲望などによって現実をゆがめて、色眼鏡で現実を受け止め、内なる現実をつくりあげています。
そのようなことを精緻に観察、分析し、人間が知覚経験(視覚、聴覚、触覚などの五感など)を処理する方法、自分の頭の中にある考えを表現する方法、生活上の体験を意味づける方法などを研究したのが神経言語プログラミングです。
前置きが長くなってしまいましたが、書籍には、こころのウイルスの構造と種類として考えられている次の4つが紹介されています。
1「引き金ウイルス」 特定の外的経験がきっかけとなって、自動的にネガティブな感情を呼び起こす「引き金ウイルス」。例えば卵豆腐を食べて腹痛で入院した経験がもとになって、卵豆腐を見るだけでそのときの苦痛が思い起こされるとか・・・。
2「思い込みウイルス」 無意識のうちに自分の考え方や意思決定にかせをはめてしまう「思い込みウイルス」。まちがった先入観や思い込みで、やる気の喪失や無力感を引き起こしたりする。その自分の信念や価値観が自分の積極性を妨げているとわかってはいても、それが無意識のところでこころのウイルスに侵されているので、なかなかその信念や価値観を変えられない。
3 「葛藤ウイルス」 矛盾を抱えた二つの心理回路によって、内側の葛藤を生み出して行動の一貫性を乱す「葛藤ウイルス」。二つの心理回路が形成する行動、思想、価値が互いに矛盾しているときに生まれるので、対立している要素の統合が必要となる。
4 「殺人ウイルス」 前記の「引き金ウイルス」「思い込みウイルス」「葛藤ウイルス」の3つが複合し、タバコやアルコール、麻薬などの嗜癖や脅迫的な破壊行動、暴力を引き起こす。

これらのこころのウイルスのなかには、構造的に「プラスの動機」が含まれているので、なかなかやっかいなものではあるようです。
内容について詳しく知りたい方は、「こころのウイルス」(ドナルド・ロフランド 英治出版)を読んでみてください。
尚 記