ニューアース その10

ニュー・アース -意識が変わる 世界が変わる-/エックハルト・トール ¥2,310 Amazon.co.jp
オーラソーマで「ニューアース」(エックハルト・トール著)を読み解く。
「意識の鍵」であるオーラソーマを読み解くヒントとして、シリーズでお送りしています。
このシリーズは、オーラソーマで「ニューアース」を読み解くのみならず、「ニューアース」でオーラソーマを読み解く、とも言えるかもしれませんが、「意識の鍵」をつかむヒントとしていただければと思います。
今回は、第6章『「いまに在る」という意識が私たちを解放する』というテーマです。
前回は「ペインボディが不幸の源であるということ」についてでした。
ペインボディというのは、エックハルトの定義によると、古い感情的な苦痛が集積したエネルギー場のことをいいます。
そのペインボディは、引き寄せの法則にしたがって、同種のエネルギー、いわば同じ周波数で振動しているエネルギー、つまり感情的につらい体験や苦痛を糧として存在し続けます。
不幸というのは、これらのネガティブな感情をひっくるめた総称でもあるので、ペインボディがある限り、人はその不幸を引き寄せているともいえます。
では、幸福になるにはどうすればよいのでしょうか?
それは、不幸の源であるペインボディから解放されればいいわけなのですが、その方法がこの章のテーマとなります。
この章のはじめに、その方法のすべてが凝縮して書かれてあります。
このことを理解して実践できれば、ペインボディから解放されるのです。
「ペインボディからの解放は、まず自分がペインボディを「持っている」と認識することから始まる。それからもっと重要なのは、しっかりと「いまに在る」能力と観察力だ」
この言葉が理解できれば、この章についてのすべてが理解できたことになります。
ペインボディからは解放されることの第一歩は、まず、自分がペインボディを持っているということに気づくこと。
もし今、自分が幸せだと感じていない、とすれば、あなたのどこかにペインボディがある、というふうに考えても間違いではないでしょう。
気づくというにはいくつかの段階がありますが、ひとつはそれがペインボディだと「認識」すること。
つまり、それはペインボディであって、本当の自分ではない、ということの区別を知るということです。
ペインボディに自分を同一化させて、ペインボディが自分だと思っている限りは、ペインボディを認識することはできません。 ペインボディはあなたの闇の側面なのです。
闇、ないし無意識になってしまっているので、見えなくなってしまっているのです。
そして、無意識のうちにその人をコントロールしてしまっているのがペインボディなのです。
とはいえ、そのペインボディは「闇」なのですから、そのペインボディに本当に気づきの光をもたらすことができれば消えてしまいます。
なぜなら、それには実体がなく、闇でしかないからです。 光があるところ、闇は存在し得ないのです。
しかし、通常はなかなかそこまで気づきません。つまり、意識の光が闇を一瞬に消し去るまでには強くありません。
そこで、エックハルトは言っています。 「ペインボディへの同一化を断ち切るのは「いまに在る」という意識だ」と。
あなたがペインボディと同一化することがなくなれば、ペインボディはあなたの思考を支配できず、思考はネガティブな感情に曇らされることもなくなります。
すると、「ペインボディに閉じ込められていたエネルギーの周波数が変化し、「いまに在る」意識へと形を変える。するとペインボディは意識の糧となる」とエックハルトは言っています。
「ペインボディが意識の糧となる」というのは面白いですよね。
つまり、ペインボディが強くなると、その人はその苦しみから目覚めようとするためにペインボディは意識の光のエネルギーとなり、気づきの光へと変容する、とエックハルトはいっています。
このプロセスは、まさにラハシャの「ハートからのカウンセリング」
ハートからのカウンセリング―痛みから愛へ/ラハシャ・フリッチョフ・クラフト ¥2,205 Amazon.co.jp
のコースに参加された方はわかると思いますが、そこで体験するプロセスと一致しています。
ただ、ラハシャのコースでは、もっとやさしく、愛に満ちて、ハートのスペースの中でペインボディに気づくことによって、それらは解消し、気づきのスペースが広がっていきます。
エックハルトは「いまに在る」というテーマで、非常に興味深い事例を紹介しています。
少し引用が長くなりますが、「いまに在る」ということがどういうことかが具体的に説明されています。かつまた、これを読めば、エックハルトから個人セッションを受けているようなものなので、とても参考になります。
そのあと、このような事例に対して、オーラソーマがどのように有効に使っていけるのかということの事例にもなりますので、少しおつきあいください。
それは30代の女性が彼に会いに来たときの話です。
「彼女は子供時代に暴力的な父親に虐待されていた。 私はすぐに、彼女の苦痛が現在の生活環境から生じているのではなく、驚くほど重苦しいペインボディのせいだと気づいた。 彼女はそのペインボディというフィルターを通して人生を見ていた。 だが、感情的な苦痛と思考とのつながりも、その苦痛と思考に完全に自分を同一化していることもわかっていなかった。 自分の思考でペインボディを養っていることを知らなかった。 言い換えれば彼女はひどく不幸な自分という重荷を背負って生きていた」
そこでエックハルトは彼女に勧めます。
「身体の中で何を感じているかを見つめてご覧なさい。 不幸な思考、不幸な人生というフィルターを通さずに、直接に思いを感じてごらんなさい」と。
すると彼女は言い返します。
「自分は不幸から脱出する方法を教えてもらいに来たので、不幸に沈没するために来たのじゃない」と。
とはいえ、せっかくの彼の勧めなので、とにかくやってみると答えて彼女は感じてみます。 すると、彼女は「やがて涙があふれて、身体が震えだした」のです。
そこでエックハルトは言いました。
「それが、あなたのいまの思いです。 その事実はどうすることもできません。 こんなのは嫌だ、そうじゃない状態になりたい、と考えるのはやめて(そんなことを考えても、すでにある苦しみにさらに苦しみが重なるだけですからね)、いまの思いを完全に受け入れることができますか?」と。
すると、その女性は帰ろうとするそぶりを見せて、荒々しく言いました。 「いいえ、受け入れることなんかできません!」
そこでエックハルトは問いかけます。
「そう言っているのは誰ですか? あなたですか、それともあなたのなかの不幸でしょうか? 不幸な自分を思って不幸になる。 それがまた不幸を積み重ねているのがわかりますか?」
「何かをしなさい、と言っているのではないんですよ。 ただ、現にある思いを認めることはできますか、と言っているだけなのです。
あなたが自分の不幸を気にしなくなったら、その不幸はどうなるのでしょうね? やってみてはどうですか?」

すると、しばらくの沈黙の後、彼女のエネルギー場が突然変化し、彼女は言いました。
「おかしいですね。 私はいまも不幸ですが、でもその不幸のまわりにスペースができたみたいです。 前ほど重大には思えなくなりました」
そこで何が起こったのでしょう? それは彼女がペインボディ(自分のなかに生きている古い苦痛の感情)に同一化するのをやめたとき、それに抵抗せずにただ見つめたとき、ペインボディは彼女の思考の支配者ではなくなり、「いまに在る」という側面が現れたのでした。
そこでエックハルトは書いています。
「不幸な物語がなければ不幸ではいられないから、これで彼女の不幸は終わった。 それは彼女のペインボディの終わりの始まりでもあった。 感情そのものは不幸ではない。 感情に不幸の物語がくっついたときにだけ、不幸になる」
これはラハシャのハートからのカウンセリングで引用されるOSHOの言葉に似ています。
「どんな事実も心理的な痛みをつくりだすことはない。 あなたに痛みをもたらすのはあなたの解釈なのだ。 痛みはあなたが創りだしたものだ。 なぜなら痛みはあなたの解釈によるものだからだ・・・」 OSHO・・・Unio Mystica Vol.1 #3
ある事実から心理的な痛みを作りだし不幸にしているのは、あなたの解釈が作り出した物語なのです。
不幸と同一化しているかぎりは決してこのことは理解されませんが、深く見ていけばだんだんわかってきます。
エックハルトは彼女とのセッションを振り返ってこのように言っています。
「セッションが終わったとき、私はある人物の「いまに在る」意識の目覚めを見届けたと満足だった。 私たちが人として生まれたのは意識のこの側面を世界にもたらすためだ。 それにペインボディと戦わず、意識の明かりで照らすことで、ペインボディが縮むのを見ることもできた」と。
では、これらのプロセスをオーラソーマの観点で見れば、どのようになるでしょうか?
次回に続きます。
尚 記
     
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