明けましておめでとうございます。
2019年も「季節で楽しむ日本の色」をよろしくお願い申し上げます。
1月7日の松の内を過ぎると、鏡開きの日がやってきます。
歳神様にお供えした鏡餅をおろして、いただく日です。
関東では11日ですが、京都では1月4日、関西では15日や20日に行われることが多いと聞きました。
地域によって違うのですね。
鏡餅が広まったのは江戸時代のこと。
武家社会では「切る」とか「割る」と言うのは切腹を連想させるため、縁起が悪いので「開く」と言うようになったそうです。
実際には木槌などで餅を叩いて割り、お汁粉にしていただくのが定番の食べ方です。
お汁粉に使うのはもちろん「小豆」ですね。
古代より赤い色は、魔除けや厄除けの色とされてきました。
赤い色は、おめでたいときに用いられる色です。
たとえば「赤飯」は、お祝いのときに食べます。
お食い初めにお赤飯を炊いてお祝いするのは、その子が一生食べるのに困らないようにとの願いです。
お赤飯が一般に普及するようになったのも、やはり江戸時代からだそうです。
小豆そのものは「古事記」のなかにも出てきます。
日本人にとって古代から身近にあった食べ物なのですね。
小豆色は深く渋い紅赤。
オーラソーマで言うならディープマゼンタに近い色です。
話は少し脇にそれますが、お赤飯は小豆ではなく「ささげ」という豆で炊きます。
小豆とささげはとてもよく似ていて一見見分けがつかないのですが、これについてもちょっとおもしろい話があります。
お赤飯を炊くときに、もち米と一緒に水に浸すと小豆は割れます。
前にも書いた通り「割れる」は切腹に通じるので、江戸の武家社会では避けたかったのです。
代わりに、浸しても割れない「ささげ」が使われるようになったというわけです。
どちらもササゲ属で味には大きな違いがないようです。
ついでに、何かお役に立つかどうかわかりませんが、小豆とささげの見分け方をご紹介します。
豆の側面を見たときに、おへそのような縁取りが「白いのが小豆」「黒いのがささげ」です。
話を小豆に戻します。
小豆の22%は良質なたんぱく質。
しかも必須アミノ酸を多く含み、食物繊維はごぼうの3倍。
デトックスに欠かせないと言われるのもわかります。
中医学では小豆の煮汁には解毒作用があることが記されていて、初めに日本に伝わったころは、食物というより薬としての扱いだったようです。
ディープマゼンタの色をしているだけあって、小豆はまさに「レスキュー」の働きを持っている食材です。
お正月に神様にお供えした鏡餅を、おめでたい小豆でお汁粉にしていただく・・・小豆を食するのは年の初めに縁起が良いだけでなく、栄養的にもこんなにすばらしいのです。
今年も良い年になりますように。
鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間
住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考:
https://www.colordic.org/colorsample/2275.html