鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【朱色】しゅいろ≫

2月最初の「午の日」を初午(はつうま)と言います。

今年は2月10日がそれに当たります。

一年で最も寒さが厳しい時期ですが、そんななかにも春を迎える年中行事です。

本来は旧暦2月だったので、旧暦の初午で見ると今年は3月6日。

このころなら、もう少し春めいてきます。

昔の人たちはこの時期に、こぞって稲荷神社に詣でたそうです。

初午は稲荷神社と関係があります。

お供えとして、稲荷寿司が有名です。

私の地元である栃木県では「しもつかれ」という郷土料理を、初午の日に稲荷神社にお供えする風習があります。

大根と人参をざっくりとおろし、節分の豆まきに使った大豆や、塩鮭の頭、酒粕などを一緒に煮たもの。

油揚げも加えます。

消化を助ける食材と調理法で、弱った冬の胃腸に優しい料理です。

全国各地にそれぞれの郷土料理や風習があることでしょう。

初午の日、京都の伏見稲荷大社では「初午大祭」が開かれます。

伏見稲荷大社は、1300年に渡って人々の信仰を集め続ける、全国の稲荷社の総本宮です。

伏見稲荷大社といえば、真っ赤な千本鳥居の風景が有名です。

これぞジャパニーズレッド!

稲荷神社の眷属である狐の前掛けも、同じように赤色が印象的です。

そこで、今月の日本の色名は、直球ですが「朱色」を選びました。

顔料である「朱」を色名としてついた名前です。

神社の鳥居の色、巫女さんの袴の色、印鑑に使う朱肉の色、書道の先生が指導するときに使う朱色の墨、漆器の色・・・。

あなたのまわりにある朱色をいくつ思い出せますか?

朱色は昔から神聖さと権威を象徴する色でした。

たとえば平安神宮に代表される神社の社殿には、朱塗りのものが多く見られます。

また現在の東京大学の赤門は、加賀藩前田家のお屋敷の門でした。

海外に渡航を許された船は「御朱印船」と呼ばれ、将軍が発行した朱印状を携帯していたのです。

今も正式に発行された証書や公文書に、朱肉で押印するのはこの時の名残りです。

今も朱色の持つ意味は、脈々と受け継がれています。

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

また、シンガーソングライターの一面も持っています。
6月に初のオリジナルアルバムのCDをリリースしました。
作詞作曲はもとより、ジャケットのイラストも自身の作品です。

 

「烏兎匆匆」
全7曲入り/1500円(税込)
こちらからオンラインで購入できます。
https://reiko-ayusawa.com/
当分の間、送料無料です。

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2245