鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 ≪【白練】しろねり≫

オーラソーマの授業やコンサルテーションをするときに、私たちティーチャーやコンサルタントは、白い服を着ると決まっています。
それは、生徒さんやクライアントさんに特定の色を印象づけないためです。
私はオーラソーマを仕事にして、もうすぐ13年になりますが、クローゼットのなかの何割かは白い服で占められています。
白い服を着るといつも気持ちが新たになります。
世界的に見て、白い色にはさまざまなバリエーションがあり、日本の色名にも白い色の名前が多数存在します。
なかでも、珍しい名前のひとつが、今回取り上げる「白練」(しろねり)です。

白練

絹の生糸は、そのままでは薄い黄色みがかった色をしています。

蚕の繭

繊維からセリシンというたんぱく質や、その他の不純物を取り除き、精練して白くなった色が「白練」です。
たんぱく質を取り除くことで生地が柔らかくなり、より光沢のある白い色になるのです。
精練には、生糸の状態で行うものと、織って布にしてから行うものがあります。

絹

絹を精製することを「練る」と言います。
この文字を使った言葉には洗練・練習などがありますが、磨きをかけることを意味します。
「計画を練る」などにも使われますが、「練る」とは、ものごとの精度を上げることです。
絹を単に白くするのではなく、その品質を上げる意味が込められているのです。
絹といえば、昨年6月、群馬県の「富岡製糸場」が世界文化遺産に登録されたことが記憶に新しいですね。
絹の歴史は古く、日本に伝えられたのは弥生時代と言われています。
さまざまな時代を経て、明治時代初めに日本での絹織物産業が最も盛んになりました。
富岡製糸場は、まさにその時代の文化遺産でした。

富岡製糸場

絹は日本の服飾文化に欠かせない存在です。
だからこそ絹の色を表す「白練」という色名が存在するのです。
「白」は、最も古い色名です。
白い絹は特に神聖なものであり、神事に用いられます。
花嫁さんの白無垢、神主さんの衣装、新生児のお宮参りのおくるみなど、現代の私たちに身のまわりにも、たくさん見つけることができます。

神聖なる白

オーラソーマのときに身に着ける白い服は絹とは限りませんが、いつも私に神聖な気持ちを思いださせてくれます。
白い服を着ることで、色に対する感性が磨かれる気がします。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/2376.html 参考HP: 富岡製糸場HP http://www.tomioka-silk.jp/hp/index.html
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