鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色 ≪【紫陽花青】あじさいあお≫

日本列島、南から梅雨入りのニュースが聞こえてくる季節です。 貴重な晴れの休日は、有意義に過ごしたいですね。
梅雨の季節の代表的な花といえば「紫陽花」です。
紫陽花
この漢字は当然あて字ですが、梅雨時期にそこだけ紫色のスポットライトが当たったように明るく感じる、なんともすてきな文字です。
前回の「虹色」がどの色と言えないように、紫陽花の色も変化するので特定の色を指すことができません。
でも「紫陽花青」という色名を見つけました。 (出典「定本 和の色事典」株式会社視覚デザイン研究所・発行)
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紫陽花青
紫陽花は土質が酸性なら青みが強く、中性なら紫色に、アルカリ性に近づくほど赤の色味が強くなります。
また、咲いているあいだにも花の色がさまざまに変化することから、「七色花」「七変化」、さらには一部の地域で「七面鳥」(!)なんて呼び方もされていたそうです。
でも、紫陽花は古くから日本にある日本原産の花。 『万葉集』のなかで、すでに紫陽花の文字が使われています。
この色に相当する名前がフランス語にもありました。 「ブルー・オルタンシヤ」(Bleu hortensia) 
Bleu Hortensia
紫陽花が原産地の日本からヨーロッパに伝わったのは、ドイツ人医学者シーボルトによるものだと言われています。
彼は日本の薬草を多数ヨーロッパに持ち帰って紹介しています。 日本人の植物学者たちとも篤い親交がありました。
彼は帰国後、膨大な植物標本や日本人絵師による細密な植物画を用いて、本も出版しています。
シーボルトの紫陽花
海を渡った紫陽花はヨーロッパの植物園で気候に慣れさせ、やがて園芸品種として広く定着していきました。
シーボルトの存在なしには、フランス語のこの色名は生まれなかったかもしれません。
そう思うと、紫陽花が海外に進出して活躍している日本人女性のように見えてきます。
今年の梅雨入りはもう間近でしょうか。
有名な鎌倉の「明月院」をはじめ、日本には紫陽花の名所がたくさんあります。
長谷寺の紫陽花
美しい紫陽花青を求めて訪れてみたいものです。
ブルー・オルタンシヤの名前も、そっとつぶやいてみたりして。
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鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール 有限会社「カラーズガーデン」代表。 英国オーラソーマ社公認ティーチャー。 栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。 中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。 2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。 2006年より公認ティーチャーとして活動中。 http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/
色見本参考: http://www.colordic.org/colorsample/9093E0.html http://www.colordic.org/colorsample/666BBE.html 参考HP:日本植物誌 http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/b01/b01cont.html
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