鮎沢玲子さんの季節で楽しむ日本の色≪【夕色】ゆういろ≫

早いものでもう3月上旬ですね。

毎年思うことですが、2月はどうしてこうも短いのでしょう。

もちろん28日しかないわけですから当然なのですが、それにしても他の月より2日か3日短いにしては、早すぎるように感じませんか。

それはこんなところにも理由があるように思います。

それは「日が長くなるから」

2月から3月上旬にかけて、春を感じる事柄はたくさんあります。

日中の気温が高くなり、厚手のコートが要らなくなる。

暖かな風が吹き、光の強さが増したのを感じる。

暖房をつけないで朝が迎えられる。

各地から届く花の便り・・・などなど。

そのなかでも「日が伸びた」と感じるのは、その日たまたまではなく毎日のこと。

昨日より今日、今日より明日と1日ごとに部屋の明かりをつける時間が遅くなる。

「先週はこの時間にはもう暗かったのに、今日は明るい」と感じたりもします。

事実、2月1日の日没の時刻が17:09なのに、3月1日には17:37(東京でのデータ)と、28日間で28分遅くなっています。

つまりほぼ毎日1分ずつ日が伸びているのです。

この毎日の変化が目に見えることで、時間の流れを早いと感じるのではないかと思います。

春の夕日は「秋の日のつるべ落とし」とは対照的に、ゆっくりと暮れていきます。

「もうこんな時間なのに、まだこんなに明るい」そんなふうに感じます。

春の夕方の空をイメージするこんな色の名前を見つけました。

「夕色」

日本の色では、夕焼けの空の色は「茜色」、夕日の光を受けて照り輝く夕映えの色を「夕色」、そしてさらに薄暗くなった空の色を「暮色」(ぼしょく)と表現します。

空の変化のグラデーションですね。

夕色を用いた短歌があります。

南無阿弥陀
心ぞいとど しづかなる
松より西に 藤の夕色

藤の花が詠まれているので、季節は3月よりもう少し先なのかもしれません。

鎌倉時代初期、天台宗の僧侶だった慈円の私歌集「拾玉集」(しゅうぎょくしゅう)に収められている歌です。

御仏に帰依する心を、静かな春の夕暮れの景色と共に詠んでいます。

現代でもこの色を歌うアーティストがいます。

マカロニえんぴつの「夕色」

別れてしまった恋人に、せめてもう一度だけ会いたい。

二度とあのころのように戻れないのはわかっている。

だけど、少しだけでも会えたらと期待してしまう、そんな切ない気持ちが歌われています。

こういうのに出会うと色の名前が時空を超えるみたいで、ちょっと嬉しいです。

 

鮎沢玲子(あゆさわ れいこ) プロフィール
有限会社「カラーズガーデン」代表。
英国オーラソーマ社公認ティーチャー。
栃木県宇都宮市生まれ 生家は染物屋を営む。
中学校美術教師を経て、インテリアコーディネータとして14年間住宅メーカーに勤務。
2002年よりオーラソーマ・プラクティショナーとして独立開業。
2006年より公認ティーチャーとして活動中。
http://ameblo.jp/aurasoma-c-garden/

また、シンガーソングライターの一面も持っています。
6月に初のオリジナルアルバムのCDをリリースしました。
作詞作曲はもとより、ジャケットのイラストも自身の作品です。

 

「烏兎匆匆」
全7曲入り/1500円(税込)
こちらからオンラインで購入できます。
https://reiko-ayusawa.com/
当分の間、送料無料です

 

色見本参考:https://www.colordic.org/colorsample/2108