【色は多様なメージで現れる】:『はじめてのオーラソーマ』第328号

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はじめてのオーラソーマ No.328 2022.5.13

みなさん、こんにちは。

えつこです。 

今回も「はじめてのオーラソーマ」をお読みいただき、ありがとうございます。

さて、前回のぱりさんのお話は【ヴァイオレットの色彩心理】でした。

まだお読みでない方は、こちらからご覧くださいね。

 

今回のテーマは、【色は多様なメージで現れる】についてです。

ほぼ毎月開催している、≪はじめてのオーラソーマお茶会≫

「いったい何をやっているのかしら?」と思っている方もいらっしゃるかと思いますが、お茶会では、みなさんが選んだイクイリブリアムボトルを感じていただく時間があります。

普通は目を通してボトルを見るわけですが、「見る」ことにフォーカスすると、意識が外へ向いていきます。

私たちの日常もそんな感じではないでしょうか?

能動的になると、何かを探したり、追うようなことになってしまい、結果的に頭で考えてしまい、どんどん自分の源から遠く離れていきます。

なので、自分がボトルを「見る」というより、ボトルが自分を「見ている」という視点で意図的に受動的になってみます。

すると、そこから見えてくることや感じることの質がずいぶんと違っていきます。

オーラソーマの創始者であるヴィッキーさんは、視力を失ってからは心の目で見ています。

私たちの五感のなかでも視覚は70~80%を占めるといわれているので、ほんの少しの時間でも目を閉じたり、受容的であることは、心の目で見ることを助けてくれます。

ヴィッキーさんは「思い出したい人、見にいらっしゃい」と、オーラソーマのボトルを見に来ることをすすめていましたが、受容的な目で見ることは、自分の源へとつながることを助けます。

お茶会では、みなさんが同じ色のイクイリブリアムボトルを見ていても、それぞれに感じ方が違っています。

それは、今回のテーマ【色は多様なメージで現れる】と関連があるのかもしれませんね。

それでは、ぱりさんのお話をおたのしみください。

えつこ

 


色彩心理学としてのオーラソーマ:

        第26回【色は多様なメージで現れる】


 

前々回の【色への反応は進化のなかで獲得(2)】では
人間の色覚機能が「赤」の捕捉に
最大限傾注する理由を推測してみました。

暖色、なかでも特に「赤」は食料の在りかと、
サバイバルに関する緊急事態を暗示している
可能性があったのでしたね。

もともと夜行性だった哺乳動物のなかで
唯一高度な色覚機能を獲得したのは
人間を含む霊長類でした。

恐竜絶滅後の地上に生活の場を移すとき、
その進化の過程で高度な色覚機能を
獲得していったと思われます。

というわけで、色のイメージには
そのイメージの起源に由来する
複数の層が考えられます。

 


●色のイメージには複数の層がある

「暖色・寒色」といったネーミングを聞けば
誰もがその意味合いをすぐに納得します。

そのように色のイメージには
人類共通の普遍的側面があり、
原始時代からの人類の集合的体験が
大きく影響しているのは間違いありません。

特に赤、白、黒は
生死の体験と深く関わっていたためか、
多くの社会に共通したイメージがあるようです。

しかし、ほかの色では必ずしもそうではなく、
社会集団で連想や象徴性がかなり異なり、
色のイメージは多様化します。

色のイメージの由来として
3つの背景(あるいは層)が考えられます。

1.人類が進化の過程で蓄積してきた色の情報。
  例:燃える火(の赤)は熱い。
  
2.地域・国・文化圏で伝承してきた色の連想。
  例:黒猫は不吉の象徴。

3.個人が記憶している色の体験。
  例:桜の花は母が死んだ日を思い出させる。

色のイメージは、
たしかに普遍的側面もありますが、
万人に共通するものはないと言えそうです。

 


●色に異なるイメージがある理由:

 (1)態度から生じる対極性

たとえば、「黒」の原初的イメージは
原始時代の闇の体験に由来するでしょう。

闇を恐ろしいものと捉えるなら、
「黒」は恐怖や悪魔など
禍々(まがまが)しいイメージに
つながったはずです。

しかし、その闇を恐れることなく
果敢に立ち向かう者もいたことでしょう。

そのような勇気を示した者は、
やがて集団を率いる勇者なって、
「黒」は彼の「強さ」「頼もしさ」
連想させる色にもなったようです。

その圧倒的な強さにあやかりたい気持ちが「黒」のイメージに加わったことでしょう。

多くの文化圏で「黒」「赤」
権力者や権威の象徴となっています。

黒は教義を堅心する聖職者の衣の色や
強さによって上下の関係の優位性を示す
上流社会の色として発展していきます。

色のイメージが多様化するのは
同じ色に常に相反するイメージがあるからです。

時代の変遷のなかで形成された
ひとつの色に対する相反するイメージが、
後の時代の私たちには、
同じ色に同時に混在する対極的イメージ
とも感じられたのです。

 


●色に異なるイメージがある理由:

(2)質感から生じる多義性

たとえば、「赤」と言っても、
実際に物として存在する赤い色は、
色合い、質感、陰影など、
それこそ無限の多様性のなかで存在しています。

もちろん、私たちは暗黙の前提として
そのことを知っています。

とはいえ色について語るには
色を指す言葉(色名)で伝えるしかありません。

しかし、交わされる言葉の限界のため、
語り手が実際どんな色を指しているのかは
ほんとうのところはわからないわけです。

たとえば古い文献に「緑」と書かれていても、
それは青を指していたり、
濁った灰色がかった緑を指していたり、
鮮やかな黄緑を指していたりと
実際にはかなり異なっているのだそうです。

また、それが織物なのか顔料なのかでも
質感は大きく違ってきます。

また民族や時代によって、
命名される色の範囲もずれているでしょう。

国によって虹の色の数さえ違うようです。

また生活圏による連想野の違いも
色の命名に大きく影響を及ぼすはずです。

アイヌ語には色彩を表す言葉が
黒、白、青、赤の4つしかないそうです。

逆にカナダ・エスキモーが雪を指す言葉は
語幹として20種類以上もあるのだとか。

こうしたさまざまの背景があって、
ひとつの色が喚起するイメージが
見る人に応じて多様に変化するのでしょう。

ほんとうに色は人生そのものを
反映するようなところがありますね。

 

また次回も楽しみにしていただけたらと
思っています。

m(_ _)m

pari 記